ふぃー、お待たせしました。ようやくの更新、コードギアスSSです。……って、もうアクセス数が6000オーバーしてるな。1万Hit記念を早めに考えておかないと……。
内容としては、C.C.①と同じようにルルーシュとの会話がメインで。以前にも言いましたが、この2人のやり取りが大好きです。最近、本編ではご無沙汰なのが寂しい限りですけど……。時事ネタとして、ひな祭りとホワイトデーを微妙に絡ませています。珍しく本編補完はしてないかな。
本当は「ナナリーの日常」にしようと思ったんですが、書きやすさからC.C.メインになりました。まぁ、どちらにせよナナリーのキャラは発揮できたかなぁと思っているので結果オーライ。
ナナリーも書くのが楽しいキャラですね。あくまで脳内の設定ですけど。
次回は、カレンかユフィ(コーネリア)を予定しています。
1週間以内に、できれば。
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コードギアス 06.C.C.の日常② 「ルルーシュの部屋にて その2」
「……不味い」
「食べたいと言ったのはお前だろう。縁起ものというやつだ。文句を言うな」
「モソモソする。チマチマして食べづらい」
「どうでもいいが、こぼすなよ」
「…………」
C.C.は顔をしかめた。
菓子の味とルルーシュの苦言、二つへの不満から。
「それより、さっきからお前は何をやっているんだ?」
ベッドの脇にひなあられの袋を置くと、C.C.はそう尋ねた。
昼下がりのルルーシュの部屋。
先ほどから彼は、床に這いつくばって何かを探している……ように見える。
「失くしものか?」
「隠し場所を探しているんだ」
「男の子か」
「どういう意味だ」
「そういう意味だ」
「……違う」
立ち上がったルルーシュは、パタパタと体をはたく。
イスに腰掛けると、ため息を一つついた。
「これだ」
「? クッキー?」
机に置かれた小さなクッキーの缶を指差すルルーシュ。
四、五個ほどある袋には、どれもキレイなラッピングが施されていた。
「近々、ホワイトデーという催しごとがあるんだが……」
「知っている。お返し、というやつだな」
「……どこで知った」
「いろいろと、な。それより……驚いた。お前にも返す相手がいたのか」
「どういう意味だ」
「そういう意味だ」
「…………」
「それで?」
「……お前に説明する義理はない」
「そうむくれるな。これをやろう」
「不味いと言ったものを人に寄越すな!」
C.C.から投げ渡されたひなあられを、それでも、ルルーシュは律儀に受け取ろうとする。
キャッチに失敗して、床へと落としてしまったが。
「下手くそ」
「うるさい……」
袋を拾い上げ、一粒、口に入れる。
やはり微妙そうな顔をすると、ルルーシュは話を続けた。
「……まぁ、お前にも話しておくべきか」
「協力するつもりはないぞ」
「頼みもしない。ただ、黙っていてもらうだけだ」
「黙ってもらう……?」
その言葉に得心したC.C.は、すぐに呆れた顔をする。
つまらなそうに髪をいじりながら、
「……なるほどな」
「そう、ナナリーにだ」
もう一つ、さきほどよりも大きなため息。
うな垂れたルルーシュは、ポツポツと呟く。
「毎年これで苦労する……」
「見つかるのか? ナナリーに」
「咲世子さんに、だ。ここの掃除をしてくれているのは彼女だからな。そこからバレる可能性がある。あの人はナナリーに甘い……」
「別に構わないだろう。どうせ義理だ」
「決め付けるな」
「違うのか」
「……違わないが」
「ならば、いいだろう」
「オレもそう思っていた。ところが……」
去年も、生徒会の面々やその他から、ちらほらとチョコレートをもらった。
シャーリーだけは、なぜかプリンだったが。
一人では食べきれず、食後のデザートにいいと思いナナリーに分けようしたところ……。
「『よかったですね』と言われた、無表情で」
プリンは別にして、チョコには頑として手を出そうとしなかった。
お兄様のものですから、とつき返すだけで……。
「さらには、生徒会以外でチョコを渡したのは誰かと追求してきた」
そのときの、ナナリーの表情なき表情を思い出すと、今でも怖気がする。
知られてはいけない。そう悟った瞬間だった。
「なるほどな……」
同じ言葉を繰り返しつつ、C.C.はますます呆れを増加させる。
ルルーシュの顔は、すっかり青ざめていた。
「それで、こんな情けない真似を」
「言うな、それを」
「今やこの国中に名前の知れ渡っているゼロも、妹には頭が上がらないか」
「……言うな、それを」
ブリタニアに反抗するルルーシュとて、このときばかりは妹のご機嫌を伺う一人の兄に過ぎなかった。
カレン辺りに知らせたらどうなるだろうと邪な想像をしながらC.C.は、
「お前がそこまで言うなら、黙っておいてやってもいいが」
「……礼を言う」
「二重生活の合間を縫ってクッキーを買いに行くお前を思うと、さすがにな」
「…………」
ルルーシュの顔に刻み付けられたのは、深い疲労。
体の苦労か心の苦労か、それはわからないが。
「……ところで」
ふと顔を上げたルルーシュは、C.C.の手元に視線を向けた。
ひなあられに代わり、小さな紙製のものが握られている。
「それは何だ」
「知らないのか。この国には『ひな祭り』というイベントがあるらしくてな」
「そんなことは知っている」
ひな祭りという単語を聞き、ルルーシュの頬がぴくりと引きつる。
先日も、お祭り好きの会長がいつものように企画を催していた。
その際に、これもいつものように被害者となるルルーシュに割り当てられたのは、ひな人形の仮装。
しかもお雛様だった。
お内裏様となったスザクと並べられ、写真を撮られ、挙句にはその写真をちらつかせながら「ホワイトデー、期待してるから」と言われ……。
と、それはさて置き。
「人形……か?」
「そうだ。ひな人形、らしい」
見ると、折り紙で折られた小さな人形のようだった。
巧みに人の姿が模してある。
「まだあるぞ」
言って、どこから取り出したのか、バラバラと人形が湧いて出てくる。相当な量だ。
赤や青以外にも、黄色や緑色など、様々な色がある。
「お前が折ったのか」
「まさか。ナナリーだ」
「そうか。安心した」
「……失礼なやつだな」
「素直な感想を言ったまでだ。うん、なかなかよくできて……」
手を伸ばしかけ、ルルーシュははたと気付く。
「待て、ひな祭りはとっくに終わっているだろう」
何しろ、自分はホワイトデーを目前にして悩んでいたのだ。
ひなあられも、余ったものを生徒会から貰ってきていた。
「日本では、ひな人形を片付けずにいると結婚できなくなると言われていると聞くが……」
紙とは言え、人形は人形だ。
ナナリーが折っているのだとしたら、早急にやめさせなければ……。
「いや、ナナリーは知っていてやっているらしい」
「知って……?」
「『お兄様といつまでも……』と言っていたな。何度も」
その言葉に、ルルーシュの動きが止まる。
硬直、と言っていいかもしれない。
「……C.C.」
「何だ」
「お前、ナナリーに何かしただろう」
「なぜそう思う」
「それがナナリーの行動パターンだからだ。言え、何をした」
地の底から震えるようなルルーシュの声。
怒りからか恐怖からか、それはわからないが。
「『C.C.さんってお兄様とどういう……』という、いつもの会話になってな」
「そんな会話をいつもしているのか……」
「私はその問いに答えただけだ」
C.C.にとっては、ただの会話の延長。
さらりと、こともなげに言う。
「最近では、周りから『愛人』と言われているらしい、と」
「……それを言ったのか、ナナリーに」
「真実を言ったまでだ」
「言ったんだな!?」
ガタリと、ルルーシュは立ち上がる。
クッキーの隠し場所などという、些事に関わっている場合ではなかった。
最も懸念すべき事象は、これほど身近に。
「ナナリーのところへ行くのか」
「当たり前だ!」
「ついでだ。ピザを取ってくれ。口直しに」
「……勝手に注文しろ!」
激しくイスにつまずきながら、ルルーシュは駆け出していく。
残されたC.C.は、ふぅと息を吐いた。
「なら、クッキーでも食べるか……」
END
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コメント
僕もナナリー好きですよw
僕のリアルの妹とは余りにも違いすぎて泣けてきますwwww
結構sizuruさんが描くSSは本編では手が届かないところに手が届いてますね^^
ところでここのブログのバナーって作らないんですか???
いつの間にか自分の中でナナリーがこんなキャラに。出番が少ないから好き勝手イジれるってのもあるんですが。
うーん、リアルで妹がいないから、こういう妄想ができるのかな。現実を知らずにいられて。
≫本編では~
そうなんですよね、そこが自分の目指すSSです。
このほうが、書いてるほうも読んでるほうもおもしろいかなと。
≫バナー
まぁ時間がないと言うかやり方がわからないと言うか……。
年度が替わったら少し考えます。
C.C.マジ外道(w
この一言につきますな。
>ナナリー
前のプリンに続き、黒ナナリー降臨(w
でもナナリーはどちらかというと、無邪気な発言でルルーシュを困らせるといった、もうちょっとお茶目なイメージの方がしっくりくる気がします。ナナリーは純真無垢なお姫さまですから、悪意と縁がないって印象が強くて。
……だからこそ黒が引き立ちますが(w
>次回は、カレンかユフィ(コーネリア)
何下にコーネリアに期待。
何といっても、ルルと双璧を成すシスコンですから(何の期待だ
ナナリーとは別の意味で、ヒエラルキー的にルルーシュより上位なキャラ。
今回のオチは、なかなかよくできたなぁと思ってます。
≫ナナリー
まぁどこまで黒化しているのかは自分にもわからないんですが。純粋な疑問や探究心からルルーシュを追い詰めてる、のかも。
今回ナナリーを主役にしなかったのも、その辺りが絡んでます。明確にしたくなくて。
≫コーネリア
すでに自分の中では、スザクに嫉妬心むき出しのコーネリアが出来上がっていたり。
お堅いキャラを崩すのもおもしろいなぁ。