ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/05/08 01:06 |
【コラム】 なるほど丸戸氏講座 第04回「××子の系譜」


 あ、夏コミの抽選に落ちました。見事に白ラベルです。残念。
 まぁ初応募から幸運にも二連続で受かっていたので、こうなることもあるだろう……と自分に言い聞かせることにします。これにより、当初予定していたコードギアスとパルフェのSSが延期に。次は冬、でしょうか。冬にも落ちる可能性はありますけど。
 
 手を尽くせば夏に本を出せないこともないんですが、今のところは未定とさせてください。相変わらずイラスト関係の問題は解決していませんし、いろいろと他にやりたいことがあるので。
 今回は充電期間ということでしょう。何か動きがあればお知らせします。

 さて今日は、ずいぶんと間が空いてしまった丸戸史明氏講座の4回目を。
 コミケ用の原稿がなくなったことですし、SSを頻繁に更新……できればいいんですが。

拍手[1回]


 第01回第02回第03回・第04回・第05回

・なるほど丸戸氏講座 第04回「××子の系譜」
 今回はヒロインに関するお話。
 丸戸氏の作品は、「ままらぶ」の涼子さんなど数少ない例外を除いて、メインヒロイン(パッケージヒロイン)に人気がないというのが定例となっています。「ショコラ」の美里然り、「パルフェ」の由飛然り。
 そんな状況下で、作者の寵愛を一身に受け、さらには多くのファンをも獲得してしまうキャラ――言うなれば、影のメインヒロインが存在します。それが、主として戯画作品に登場する「××子」たち。彼女たちには、名前の規則性や、キャラ設定・性格に一定の法則が見受けられます。
 以下、個別に検分を。

■加藤あおい(Ripple ~ブルーシールへようこそっ~)
 丸戸氏、そしてすべての原点。
 名前こそ「××子」ではありませんが、あおいには以降に受け継がれるすべてのキーワードが詰まっています。『ダウナー系』『裏でグチャグチャ考えている』『依存』『過去のいざこざ』……がそれ。『ダウナー系』とは彼女の性格。『依存』は主人公があおいに頼り切っている、要するにヒモ属性のこと。『裏でグチャグチャ~』は、表では平気そうに装っておきながら裏では非常に執念深く主人公を思っている、という意味です。
 氏のデビュー作であり、今では黄金コンビとまで言われているねこにゃん氏がサブ原画ながらも参加していた「Ripple」は、ある意味で戯画らしいシステム周りの稚拙さも去ることながら、キャラの煮詰め不足が目立つものとなっていました。が、そういった中で一際異彩を放ち、後世まで語り継がれるほどのキャラ性を発揮したのがこのあおいです。今で言うツンデレに辛うじてカテゴライズされながらも、当時はその原型や同種を求めることすら困難だったキャラ。作品すべての魅力が、あおいに集約していると言っても過言ではないでしょう。どんなキャラなのか疑問に思った方は、下記の里伽子を参照してください。
 どうやらこれは氏が意図してやったものではないらしく、書く分には真帆乃や有希など、所謂ツンデレキャラのほうが楽しかったそうです。処女作でよくこんな冒険ができたなぁと、ある意味感心してしまったり。……いや、処女作だからこそか?
 結果として、このあおいの成功が、後々「××子」の系譜に繋がることに……。

■秋島香奈子(ショコラ ~maid cafe "curio"~)
 系譜の始まり。
 初めて三文字の名前、「××子」を冠された香奈子は、“反あおい”のコンセプトから生み出されました。上記のキーワードの内、3つまでは同じながらも、『依存』の方向性はまったくの正反対になっています。あおいは主人公→あおいでしたが、香奈子は香奈子→主人公……といったように。「ショコラ」製作の過程にはいろいろと煩雑なものがあったそうですが(これについては後々)、結果的に香奈子がこのようなキャラになってしまったのは、またもや丸戸氏の嗜好が深く影響していると考えられます。まさに作者の愛情。
 他にも香奈子には、寵愛を感じさせる部分があります。それは、作品全体における彼女の扱い。
 メイン以下、他のヒロインたちが抱いている主人公への愛情は、一つのキャラルートに入るとなかったことになってしまいがちです(これは丸戸氏作品に限らず、エロゲ全般に言えることです)。しかし、香奈子のそれはなかなかなくならず、最後の最後まで見え隠れしています。『執念深さ』、そして、作者がいかに香奈子を大切にしているか、その現れでしょう。
 この傾向が特に顕著なのは、「××子」の正当な継承者たる里伽子です。ほぼすべてのキャラルートにおいて、彼女の存在が多かれ少なかれ影響を及ぼしています。ああいった過去のため無理のないことかもしれませんが、明らかに3番手以降のヒロインの扱いとしては、特殊だと言っていいでしょう。
 最後に、この論を記す上で、「××子」を『地雷女』と評しようとしていたことを記しておきます。なぜやめたのかと言うと、『地雷』といった表現が正しく作用するのは香奈子さんだけだったため。
 それほどまでに、彼女の執着っぷりは一種異様なものがありました。

■夏海里伽子(パルフェ ~ショコラ second brew~)
 タイトル通りの二番煎じ。
 里伽子のコンセプトは、あおいの焼き直しにあります。元同僚で、飲みに行ったら主人公が潰れて、介抱したら特殊な関係になってしまって、普段は主人公が頼り切りで、何だかんだで世話を焼いてくれて……などなど、似通った点が多々。氏のコメントを抜粋すると、「もう態度と内面の乖離が呆れるくらいに激しくて、理不尽なくらいに主人公のことが大好きで、尽くして、尽くして、尽くしまくって、で、ほとんどのケースで報われない」とのこと。性格その他、ほとんど同じと言っていいでしょう。
 もちろん、あおいのほうが好意の示し方が幾分素直だったり、好きと言い出せない具体的な理由が里伽子にはあったりと差異もありますが、これは尺の都合や丸戸氏自身の変化(屈折?)、と考えられます。根底にあるのは、“あおいリベンジ”といったコンセプト。里伽子が好きな方は、そのプロトタイプであるあおいもプレイすることをお勧めします。
 また、上記の『ほとんどのケースで報われない』は、「ショコラ」の翠にも通じるかもしれません。アッパー系ツンデレとされているのが翠で、ダウナー系ツンデレが里伽子……という。要するに、氏はこの手の精神的ジレンマや、依存・被依存の関係性が好きなんでしょう。
 当然、自分もそうなんですけど。
 実を言うと、この里伽子こそが、全丸戸氏作品の中で一番好きなキャラだったりします。大好きです。ダントツです。次点で玲愛・ま~姉ちゃん……でしょうか。どれもパルフェですね。詳しい説明は、また後々。
 ただ一つ言えるのは、今後パルフェのSSを書く際には、かなりの高確率で里伽子が登場するということです。由飛や明日香ちゃんがいなくとも、彼女だけは必ずと言っていいほど出てくるでしょう。
 その点は切にご容赦を。

■浅倉奈緒子(この青空に約束を―)
 ××子であって××子ではない?
 香奈子→里伽子とすでに系譜が出来上がっていたので、こんにゃくが発売されるまでは、ファンの間で彼女もそういったキャラであると考えられていました(ショップ特典テレカに奈緒子が多いのも、店側が同様の推論をしたためと考えられます)。が、結果はご存知の通り、前述の二人に共通してい『「ダウナー系』『裏でグチャグチャ考えている』を欠いたキャラに。
 どうやらオフィシャルファンブックで氏が語っている通り、今回は系譜を意識していなかったようです。考えてみれば、香奈子や里伽子とは違い、苗字に季節もありません。一応、『依存(と言っても度合いは少ないですが)』『過去のいざこざ』といった「××子」に共通する設定があるものの、これは書いている中で自然にそうなってしまったらしく。ゲーム開始時点ですでにヒロインと主人公の間にフラグが成立しており、回想で諸々の事情を補完してしまう……というのは、丸戸氏お決まりの手法ですし。
 正直、第3の「××子」を期待していた自分は、奈緒子そのものは関係なしにがっかりしてしまいました。『過去』はあるものの、『執念』があまりありません。だったら「××子」って名前にしなければいいのに……とまで思ってしまったり。
 この辺りの落胆と失望が、こんにゃくの評価を低める結果に繋がったのかもしれません。
 自分の書くSSでは、丸戸氏の方針に逆らって奈緒子の『過去のいざこざ』を強調するものになっています。せっかく設定があるなら使わなければもったいない、ということで。
 ただ単に、口には出せない葛藤に苛まれている女性と、その思考や行動が好きなだけなんですけど。

■今後は……
 果たして、「××子」の系譜は潰えてしまったんでしょうか。
 春夏秋冬で言えば、まだ春と冬が残っています。ファンの期待も依然としてあるでしょう。
 しかし、そういった縛りやお約束事を嫌うのもまた丸戸氏の性格ですし……。
 ここで気になるのは、次回、氏が手がけると推測されるHERMIT作品です。上記の法則に照らし合わせてみれば、「FOLKROLE JAM」の維月が当てはまると言えなくもありません。だとしたら、「××子」という名前ではないにしろ、同様の設定や性格を有したキャラが登場する可能性も幾ばくかは……。里伽子好きな自分としては、できればダウナー系ヒロインの復活を望みます。
 まぁそれだと、結局、彼女と比べてどうのこうのといった論議になってしまう恐れがあるんですけど。
 いずれにせよ、作者の愛を感じるキャラが生まれることを祈りつつ、今回の論を終わりたいと思います。 

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2007/06/07 21:37 | Comments(2) | TrackBack() | Column

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コメント

今なら、NG恋の麻実も同じ傾向にあるといえますよね。
posted by 名無し閣下at 2009/11/17 23:01 [ コメントを修正する ]
Re:無題
コメントありがとうござます。

確かにそうですね。ダメコイでは××子でいうと美都子が当てはまりそうでしたが、実際は違ったみたいで。
なのに美都子というキャラ名にしたのは、ファンの関心を引くための一種のお遊びなのか、もう××子の系譜は引き継がないという意思表示なのか……。いずれにせよ、まるねこシリーズでの××子の復活は現時点では当分なさそうです、残念ながら。
2009/11/26 21:52
こういう観点で見てたんだ~と感心しました。

実はショコラ、パルフェ、こんにゃく(Rippleはやってない)の中で全くsizuruさんと好きなキャラかぶってないです(笑

ショコラでは美里 チロル 翠
パルフェではカトレア
こんにゃくでは茜 海巳
という感じでしょうか…。
ストーリーだけで見たらダウナー系が一番良いのは間違いないですけどね♪

僕は毎回新鮮な気分でプレイしてるんであんまり共通点探してないかも(八橋大くらいは気付いてたけど)

次回の丸戸氏の作品にはまた新しくタイプのキャラがでてきてほしいな~

こんにゃくの海巳が今までで一番感動と同時に主人公に共感できたかな☆彡
posted by SEVENat 2007/06/08 05:50 [ コメントを修正する ]
Re:無題
丸戸氏の作品ではこれまでの歴史を意識したものが多いですね。こんにゃくにもRippleのネタがいくつか出てきたりと。キャラも含め、そういった点に注目するのも興味深いです。まぁ、考えすぎの粋は脱していないんですが。
好みのキャラは……確かにショコラでは被ってないかなぁ。美里のルートはあまり……。海己にはもちろん感動しましたけども。
さて、問題は仰る通り新しいキャラが出るかどうかですね。氏の引き出しはあとどれくらいあるんでしょうか。すでにFOLKLOREの維月と奈緒子が似ていたりしたので……。
2007/06/11 00:09

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