ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/11/23 00:30 |
【SS】 コードギアス 02.C.C.の日常① 「ルルーシュの部屋にて」


 ちょっと遅くなってしまいました。コードギアスSS、更新です。今回はC.C.とルルの会話がメインで。この2人のやり取りはすごく好きですね。普段C.C.は何をしているんだろう……という、どうでもいいところにスポットを当てた短編です。 時期としては、とりあえず第5話以降でしょうか。あまり深くは考えていません。
 感想等ありましたら是非どうぞ。
 
 次回は、カレン2回目かユーフェミアか、ミレイ辺りを考えています。近くなったら、また告知しますので。
 しばらくは女性キャラが中心かなぁ。……あ、ヴィレッタもいいかも。

拍手[16回]


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コードギアス 02.C.C.の日常① 「ルルーシュの部屋にて」

「チェック」
 コトリと、チェス盤に駒が置かれる。
 夜も更けた学園、ルルーシュの部屋。
 彼の正面、テーブルの向かいに座ったC.C.は、「ふむ」と無表情のまま頷くと、盤上を見つめた。
「さすがに得意というだけはあるな」
「お前に褒められても嬉しくはない」
「私がお前を褒めることなど滅多にないぞ? 素直に喜べ」
「……もうわかっただろう。いい加減、」
「では、こうすればどうだ」
「……く」
「お前にしては甘い手だったな。集中力が切れている証拠だ」
「うるさい」
「どうした、疲れたのか?」
「当たり前だ。何度付き合わされたと思っている」
「十回もしていない」
「十分だ」
「軟弱なやつだな、たったこれだけの回数で。根性なしめ」
 再び、鋭い一手がルルーシュを攻める。
 思考のためアゴに手をやると、思い出したように、ルルーシュは小さく息をついた。
「……そもそも、なぜ俺がお前の相手をしなければならないんだ」
「お前こそ何度目だ、そのセリフを言うのは」
「言いたくもなる」
「しつこい男は嫌いだ」
「しつこいのはどっちだ。いったいいつまで続けるつもりなんだ?」
「私の気が済むまでだ。……チェック」
「……ぐ」
「どうする? そろそろ負け越すのではないか?」
「黙っていろ。気が散る」
「必死だな。天下のゼロが」
「ここでその名を呼ぶな」
「誰にも聞こえはしないだろう。そこのカメラ以外は」
 そう言って、天井に取り付けられた監視カメラに目を向ける。
 僅かに見えるレンズが、C.C.を見下ろしていた。
「お前が仕掛けたのか? ご苦労なことだ」
「放っておくと、勝手な行動を取るやつがいるからな」
「少なくとも、お前の迷惑になるようなことをした覚えはないが」
「ナナリーに会った、学園に出てきた。……これでもまだ覚えがないというつもりか?」
「ないな」
「お前……」
「それより早くしろ。女を待たせるな」
「…………」
「諦めろ。詰んでいる」
「くっ」
 ガシャっと、駒を崩す。
 ルルーシュは悔しげな表情を隠すように、眉間を強く揉んだ。
「だいたい、こんな遊びがお前の願いに繋がるのか?」
「適度な休養は必要だぞ?」
「夜中までする休養は休養とは言わないだろう」
「お前がお前の目的のために進めば、いずれ私の道に通じる。……騎士団からの報告待ちなのだろう? そう焦るな」
「遊んでいる時間が無駄だと言ったまでだ。こんなに長く……」
「元はと言えば、お前の責任だ」
「……俺の?」
 答えを促すようなルルーシュの視線を避け、C.C.は立ち上がった。
 同時に、玄関のチャイムが鳴る。
「来たようだ」
「またピザか……」
「サイフを寄越せ。カードでもいい」
「待て、俺が行く。お前は出るな」
 うんざりした表情で部屋を後にするルルーシュを、C.C.は見送る。
 黒いキングの駒を手の中で弄んでいると、ピザの箱を両手で抱えたルルーシュが戻ってきた。
「ご苦労だったな」
「お前に奢らねばならないことも疑問だ」
「カタいことを言うな。……食べるか?」
「遠慮する。夜食を採る習慣はない」
 明確に拒否の意思を示し、ベッドへと腰を下ろすルルーシュ。
 いそいそと景品の応募用紙にシールを貼るC.C.を、半ば睨み付けるように見つめる。
「話を戻す。何が俺の責任だというんだ?」
「……ん、今日の職人はベテランだな。チーズのはみ出しが少ない」
「聞いているのか!」
「聞いている。そう怒鳴るな」
 箱を開け、一ピース目をゆっくりと咀嚼してから、C.C.は口を開いた。
 伸びたチーズを、はむはむと器用に噛み切りながら。
「まずはこの部屋だ。……ルルーシュ、自分の部屋を見てどう思う」
「何だそれは。別に、何もおかしなところはないと思うが」
「なさすぎだ。娯楽の類は皆無。他に興味を引くものもない。どういうことだ?」
「どういうも何も……。何が言いたいんだ、お前は」
 ルルーシュの問いに、C.C.はこくりとピザを飲み込んだ。
 口の端についたソースを取ってから、告げる。
「退屈なんだ、私は」
「…………」
「私は退屈だ」
「二度言わなくていい!」
「念のためだ」
「何の念だ! ということは……まさか俺は、お前の暇潰しに付き合わされているのか?」
「ようやくわかったか」
「こともなげにお前は……」
 もはや殺気すら込められたルルーシュの眼差し。
 さらりとそれを受け流しつつ、C.C.は食事を再開する。
「外へは出るな、騎士団へは行くな……。こんなところに一日中閉じ込められているんだ、退屈するのも当たり前だろう」
「自分の立場がわかっているのか? 追われているんだぞ、お前は。学園に不審者がいるとわかれば、いずれは俺の身も危うくなる」
「だとしてもだ。もう少し配慮をしろ。男のくせに」
「お前の気が紛れるように……?」
「そうだ」
「……くだらん」
「その上、ナナリーに会うななどと……」
「ダメに決まっている」
「なぜだ? もうすでに会っているだろう。名前も告げた」
「それがまず問題だ。どうしてそんな真似をした」
「言う必要はない」
「お前のせいでナナリーは……」
「何かあったのか」
「最近、食事の席で微妙に気まずそうに……」
「……まぁ、兄が女を自分の部屋に、しかも毎日のように囲っているんだからな。当然の反応だ」
「冷静に言うな! 誤魔化すのにどれほど苦心していると思っている!」
「言い訳する必要などないだろう。間違いはないのだからな、将来を誓い合った仲だということに」
「間違いはないとしても、問題は大ありだ……」
 頭を抱えるルルーシュ。
 そんなルルーシュに何の感情も示さず、「ともかく」と言い、C.C.は手に付いた小麦粉を払った。
「これ以上、事態を悪化させたくなければ、策を弄することだな。頭脳労働はお手の物だろう?」
「……もういい」
「なに?」
「疲れた。俺は寝る」
「放棄する気か? 生意気な」
 横になったルルーシュの下へ、つかつかと歩み寄るC.C.。
 彼に覆いかぶさるように、ベッドへと倒れこむ。
「ぐ……重い……」
「寝るな。相手をしろ、ルルーシュ」
「いい加減にしろ、C.C.! 俺は明日も学校が……」
「ナナリーの部屋へ行くぞ」
「……脅しているのか」
「それはお前の解釈次第だ」
「…………」
「ふふ。たまには、私がこちらの位置になるのもいいものだな」
「か、顔を近づけるな!」
「何だ、照れているのか?」
「誰が照れるか!」
「強がるな。体は正直だぞ?」
「うるさい! もう離れろ!」
「ナナリー……」
「わかった! 相手をしてやる! だから離れろ!」
 がばっと、ルルーシュは勢いよく起き上がる。
 満足げに、C.C.は再びチェス盤へと向かった。
「おもしろいやつだな、お前は」
「黙れ。……一局だけだぞ」
「五回だ」
「……三局」
「いいだろう。始めるぞ」
「待った。その前に……」
「何だ?」
「……俺もピザをもらう。腹が減った」
 C.C.を彩る、小さな微笑み。
 二人の夜は、まだまだ終わらない……。

                           
  END

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2007/01/31 00:45 | Comments(4) | TrackBack() | SS

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コメント

>SEVEN さん
カレン①は、さすがに初回だったのでいまいち感じがつかめませんでした。C.C.大好きなので、気分が乗ったっていうのもあるんですけど。
本当は自分もC.C.ばかり書きたいのですが……。書きたい場面もあるため、しばらくはキャラのつまみ食いが続くと思われます。
posted by sizuruat 2007/02/17 19:35 [ コメントを修正する ]
前回のカレンのと比べて格段に文章表現力が上がっているような気がします!
読んでて笑える点もいくつかあるしすごく楽しく読めました☆彡
次回も楽しみにしていますね♪
僕もCCすごく好きなんでずっとCCでもいいですよ(笑
posted by SEVENat 2007/02/16 12:17 [ コメントを修正する ]
>Taccer さん
感想がほとんど送られてこず、正直不安続きでした。コメントも、実はこれが初となります。
しかも、自分が心がけている「キャラ性」に関してお褒めの言葉をいただくとは……!
期待に応えられるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
posted by sizuruat 2007/02/01 18:46 [ コメントを修正する ]
前作のカレンの日常もですが、C.C.とのやりとりが本編のC.C.と比べても違和感なくて、いいですね。
次回作も楽しみにさせていただきます。
posted by Taccerat 2007/02/01 00:02 [ コメントを修正する ]

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