ちょっと遅くなってしまいました。コードギアスSS、更新です。今回はC.C.とルルの会話がメインで。この2人のやり取りはすごく好きですね。普段C.C.は何をしているんだろう……という、どうでもいいところにスポットを当てた短編です。 時期としては、とりあえず第5話以降でしょうか。あまり深くは考えていません。
感想等ありましたら是非どうぞ。
次回は、カレン2回目かユーフェミアか、ミレイ辺りを考えています。近くなったら、また告知しますので。
しばらくは女性キャラが中心かなぁ。……あ、ヴィレッタもいいかも。
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コードギアス 02.C.C.の日常① 「ルルーシュの部屋にて」
「チェック」
コトリと、チェス盤に駒が置かれる。
夜も更けた学園、ルルーシュの部屋。
彼の正面、テーブルの向かいに座ったC.C.は、「ふむ」と無表情のまま頷くと、盤上を見つめた。
「さすがに得意というだけはあるな」
「お前に褒められても嬉しくはない」
「私がお前を褒めることなど滅多にないぞ? 素直に喜べ」
「……もうわかっただろう。いい加減、」
「では、こうすればどうだ」
「……く」
「お前にしては甘い手だったな。集中力が切れている証拠だ」
「うるさい」
「どうした、疲れたのか?」
「当たり前だ。何度付き合わされたと思っている」
「十回もしていない」
「十分だ」
「軟弱なやつだな、たったこれだけの回数で。根性なしめ」
再び、鋭い一手がルルーシュを攻める。
思考のためアゴに手をやると、思い出したように、ルルーシュは小さく息をついた。
「……そもそも、なぜ俺がお前の相手をしなければならないんだ」
「お前こそ何度目だ、そのセリフを言うのは」
「言いたくもなる」
「しつこい男は嫌いだ」
「しつこいのはどっちだ。いったいいつまで続けるつもりなんだ?」
「私の気が済むまでだ。……チェック」
「……ぐ」
「どうする? そろそろ負け越すのではないか?」
「黙っていろ。気が散る」
「必死だな。天下のゼロが」
「ここでその名を呼ぶな」
「誰にも聞こえはしないだろう。そこのカメラ以外は」
そう言って、天井に取り付けられた監視カメラに目を向ける。
僅かに見えるレンズが、C.C.を見下ろしていた。
「お前が仕掛けたのか? ご苦労なことだ」
「放っておくと、勝手な行動を取るやつがいるからな」
「少なくとも、お前の迷惑になるようなことをした覚えはないが」
「ナナリーに会った、学園に出てきた。……これでもまだ覚えがないというつもりか?」
「ないな」
「お前……」
「それより早くしろ。女を待たせるな」
「…………」
「諦めろ。詰んでいる」
「くっ」
ガシャっと、駒を崩す。
ルルーシュは悔しげな表情を隠すように、眉間を強く揉んだ。
「だいたい、こんな遊びがお前の願いに繋がるのか?」
「適度な休養は必要だぞ?」
「夜中までする休養は休養とは言わないだろう」
「お前がお前の目的のために進めば、いずれ私の道に通じる。……騎士団からの報告待ちなのだろう? そう焦るな」
「遊んでいる時間が無駄だと言ったまでだ。こんなに長く……」
「元はと言えば、お前の責任だ」
「……俺の?」
答えを促すようなルルーシュの視線を避け、C.C.は立ち上がった。
同時に、玄関のチャイムが鳴る。
「来たようだ」
「またピザか……」
「サイフを寄越せ。カードでもいい」
「待て、俺が行く。お前は出るな」
うんざりした表情で部屋を後にするルルーシュを、C.C.は見送る。
黒いキングの駒を手の中で弄んでいると、ピザの箱を両手で抱えたルルーシュが戻ってきた。
「ご苦労だったな」
「お前に奢らねばならないことも疑問だ」
「カタいことを言うな。……食べるか?」
「遠慮する。夜食を採る習慣はない」
明確に拒否の意思を示し、ベッドへと腰を下ろすルルーシュ。
いそいそと景品の応募用紙にシールを貼るC.C.を、半ば睨み付けるように見つめる。
「話を戻す。何が俺の責任だというんだ?」
「……ん、今日の職人はベテランだな。チーズのはみ出しが少ない」
「聞いているのか!」
「聞いている。そう怒鳴るな」
箱を開け、一ピース目をゆっくりと咀嚼してから、C.C.は口を開いた。
伸びたチーズを、はむはむと器用に噛み切りながら。
「まずはこの部屋だ。……ルルーシュ、自分の部屋を見てどう思う」
「何だそれは。別に、何もおかしなところはないと思うが」
「なさすぎだ。娯楽の類は皆無。他に興味を引くものもない。どういうことだ?」
「どういうも何も……。何が言いたいんだ、お前は」
ルルーシュの問いに、C.C.はこくりとピザを飲み込んだ。
口の端についたソースを取ってから、告げる。
「退屈なんだ、私は」
「…………」
「私は退屈だ」
「二度言わなくていい!」
「念のためだ」
「何の念だ! ということは……まさか俺は、お前の暇潰しに付き合わされているのか?」
「ようやくわかったか」
「こともなげにお前は……」
もはや殺気すら込められたルルーシュの眼差し。
さらりとそれを受け流しつつ、C.C.は食事を再開する。
「外へは出るな、騎士団へは行くな……。こんなところに一日中閉じ込められているんだ、退屈するのも当たり前だろう」
「自分の立場がわかっているのか? 追われているんだぞ、お前は。学園に不審者がいるとわかれば、いずれは俺の身も危うくなる」
「だとしてもだ。もう少し配慮をしろ。男のくせに」
「お前の気が紛れるように……?」
「そうだ」
「……くだらん」
「その上、ナナリーに会うななどと……」
「ダメに決まっている」
「なぜだ? もうすでに会っているだろう。名前も告げた」
「それがまず問題だ。どうしてそんな真似をした」
「言う必要はない」
「お前のせいでナナリーは……」
「何かあったのか」
「最近、食事の席で微妙に気まずそうに……」
「……まぁ、兄が女を自分の部屋に、しかも毎日のように囲っているんだからな。当然の反応だ」
「冷静に言うな! 誤魔化すのにどれほど苦心していると思っている!」
「言い訳する必要などないだろう。間違いはないのだからな、将来を誓い合った仲だということに」
「間違いはないとしても、問題は大ありだ……」
頭を抱えるルルーシュ。
そんなルルーシュに何の感情も示さず、「ともかく」と言い、C.C.は手に付いた小麦粉を払った。
「これ以上、事態を悪化させたくなければ、策を弄することだな。頭脳労働はお手の物だろう?」
「……もういい」
「なに?」
「疲れた。俺は寝る」
「放棄する気か? 生意気な」
横になったルルーシュの下へ、つかつかと歩み寄るC.C.。
彼に覆いかぶさるように、ベッドへと倒れこむ。
「ぐ……重い……」
「寝るな。相手をしろ、ルルーシュ」
「いい加減にしろ、C.C.! 俺は明日も学校が……」
「ナナリーの部屋へ行くぞ」
「……脅しているのか」
「それはお前の解釈次第だ」
「…………」
「ふふ。たまには、私がこちらの位置になるのもいいものだな」
「か、顔を近づけるな!」
「何だ、照れているのか?」
「誰が照れるか!」
「強がるな。体は正直だぞ?」
「うるさい! もう離れろ!」
「ナナリー……」
「わかった! 相手をしてやる! だから離れろ!」
がばっと、ルルーシュは勢いよく起き上がる。
満足げに、C.C.は再びチェス盤へと向かった。
「おもしろいやつだな、お前は」
「黙れ。……一局だけだぞ」
「五回だ」
「……三局」
「いいだろう。始めるぞ」
「待った。その前に……」
「何だ?」
「……俺もピザをもらう。腹が減った」
C.C.を彩る、小さな微笑み。
二人の夜は、まだまだ終わらない……。
END
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コメント
読んでて笑える点もいくつかあるしすごく楽しく読めました☆彡
次回も楽しみにしていますね♪
僕もCCすごく好きなんでずっとCCでもいいですよ(笑
感想がほとんど送られてこず、正直不安続きでした。コメントも、実はこれが初となります。
しかも、自分が心がけている「キャラ性」に関してお褒めの言葉をいただくとは……!
期待に応えられるよう頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
カレン①は、さすがに初回だったのでいまいち感じがつかめませんでした。C.C.大好きなので、気分が乗ったっていうのもあるんですけど。
本当は自分もC.C.ばかり書きたいのですが……。書きたい場面もあるため、しばらくはキャラのつまみ食いが続くと思われます。