ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/11/22 23:45 |
【SS】 コードギアス 01.カレンの日常① 「騎士団にて」


 ようやくアップできました。コードギアスSSです。今回はカレンが主役。作中の時間は、第12話「キョウトからの使者」と第13話「シャーリーと銃口」の間を想定しています。舞台は騎士団のアジト。カレンとC.C.のあれこれが見たいなぁという欲求から書いたものです。
 アニメ本編に準じているものの、もちろん内容は完全に自分の想像なのでご注意を。

 ①ということで②以降も予定してはいますが、時系列はバラバラになる可能性があります。突然、第03話「偽りのクラスメート」中のことを書くかも。その辺りは気ままにやっていきます。
 どれほどの分量にすればいいかわからず、少々戸惑ってしまいました。書き始めると早かったんですが。まぁ、内容は初回ということで多めに見てください。こんな感じのものを、定期的にUPしていければなぁと。

 近々web拍手を設置するつもりですので、感想等ありました是非ともどうぞ。
 ……いや、その前に、SS読んでくれる人っているのか?

拍手[5回]


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コードギアス 01.カレンの日常① 「騎士団にて」

 キョウトの代表に謁見して数日後。
 騎士団のみんなは、どこか浮き足立っているようだった。
 無理もない。
 レジスタンスにとって最大の支援者で知られるキョウト、その全面協力が約束されたのだから。
 わたしたちの活動が、「キョウト」によって支えられる……。
 この事実が、どれほど心強いか。
 黒の騎士団と名乗る以前では――ゼロが現れるまでは、考えられないことだった。
 十分な資金。武器。ブリタニアを相手にした、「戦争」。
 いつか、玉城が言っていた。
 これで俺たち騎士団は、名実ともに……。
(……でも)
 素直に喜ぶことのできない自分がいる。
 このまま、わたしたちはどこへ向かうのだろう。
 そんな不安も、もちろんある。
 けれど……それよりも。
『日本人ではない』
 アジトの中、歩を進めるわたしの脳内に、あのときのゼロの言葉が蘇った。
 騎士団のメンバーでは、わたしを含めて、三人しか知らないこと。
 ゼロは、日本人ではない。
(どういうこと……?)
 今まで、考えなかったわけじゃない。
 ゼロが顔を隠す訳。特別な事情。
 それが、こんな形で示されるなんて。
 日本人でない人物が、わたしたちを率いて、ブリタニアと戦っている。
 その事実。
(ショック、だった……)
 正直に言えば。
 わたしたちと、志は同じではないかもしれない。
 そんなことすら考えてしまえるから。
 ゼロの、目的。成さねばならぬ理由。
 それはいったい、何なのだろう。
 考えれば考えるほど、一つの想像が、頭をもたげてくる。
 ゼロはそのために、わたしたちを……。
(……ダメだ!)
 やめよう。
 ゼロの正体が何であれ、ゼロが、騎士団のリーダーであることに変わりはない。
 ゼロなら、これからも、わたしたちを導いてくれる。今までの結果が、そう示している。
 わたしはただ、わたしに出来ることをしていくだけ。
 わたしの意思で。
 わたしの力で。
「…………」
 思考と同時に、わたしは足を止めた。
 目的地。ゼロの部屋。
 紅蓮の整備が終わったことを、報告しなければならない。
 ドアをノックしようとして……。
 寸前、手が止まった。
(今日も……いるかもしれない)
 頭の中の引っかかり。
 気がかりなことは、もう一つ。
(あの人……)
 洞窟でゼロの傍にいた、あの人。
 先日、ゼロがみんなに紹介した、あの人。
 あれ以来、時々、ゼロの部屋にいることがある。
 ゼロと、二人きりで。
(C.C.……だったっけ)
 変な名前。
 彼女は、ゼロにとって何なんだろう。
 ゼロは、「大事な仲間」と言っていた。
 仲間? それも、大事な?
 わたしたちにだって、言ってくれたことないのに、そんなこと。
 キョウトの代表に会ったときだって、あの人がゼロの身代わりをしていた。
 普段は立ち入り禁止のゼロの部屋に、何度も入っている。
 わたしたちを差し置いて。
(どういうこと……?)
 彼女は知っているのだろうか、ゼロの正体を。
 誰も知らない、ゼロの素顔を。
 その、目的を。
 あの人は……。
 ゼロとあの人は……。
 ――ガチャ。
「うわっ」
 ぐるぐると渦巻く感情に翻弄されていると、突然、目の前の扉が開いた。
 中から現れたのは、あの人。
「し、C.C.……さん?」
「何だ、カレンか」
 いつもの奇妙な白い衣服をまとったC.C.は、怪しげな微笑みを浮かべている。
 わたしを見つめて彼女は、
「聞き耳でも立てていたのか?」
「……してません」
「ふふ。冗談だ」
 はっきり言って嫌いだ、この人は。
 何だか、嫌いだ。
「整備完了の報告に来ました。……ゼロは?」
「中にいる。伝えておいてやろうか?」
「……はい」
 やっぱり、嫌いだ。
 何となく、嫌いだ。
 ここからだと、ゼロの後ろ姿しか見えないというのに。
「あぁ、そうだ、カレン」
「何ですか……?」
 だいたい、どうして呼び捨てにされなければいけないんだろう。
 騎士団の仲間ではないはずなのに。
 見た目は、わたしと同じか、少し年下なのに。
「整備が終わったのだろう? 手が空いているのなら、使いに行ってくれ」
「……お使い?」
「そうだ」
「わたしが?」
「他に誰がいる」
「別にわたしじゃなくても……」
「目の前にいるのはお前だ。心配するな。街に行けばすぐに買える」
 そう言ってC.C.が手渡したのは、小さな紙片。
 何か、字が書いてある。
「ま、待てC.C.。カレンに行かせるのか?」
 文字に目を走らせている最中、聞こえてきたのは、ゼロの声。
 珍しい。
 ブリタニアとの戦いでさえ冷静なゼロが、やけに慌てている。
「何か問題があるのか?」
「あるに決まっている」
「仕方なく頼んでいるんだ。私に行くなと言ったのはお前だろう」
「それはそうだが……」
「何なら、お前が買いに行くか」
「バカなことを言うな! そもそも、買いに行く必要などないだろう。服ならオ……私のものが、」
「お前の服など、ブカブカで着られるか。たまには着飾ってもいいだろう。不満か?」
「そういう問題ではなくてだな……」
「…………」
 な、何この会話……。
 まるで入っていけない。
 これが、あのゼロなの?
 服って何? 着飾るって何?
 それに今、ゼロのことを「お前」って。
 お前って……!?
「……あぁ、すまないな、カレン。うるさいやつは黙らせておく。行け」
「え、え……?」
「まったく、あいつときたら……」
 ――バタンッ。
 疑問符を掲げることができたのは、僅か数瞬。
 気が付くと、C.C.によって、扉が閉じられていた。
 後に残されたのは、わたしと、一枚のメモ用紙。
 手元のそれに目を落とす。
 ボールペンの走り書き曰く、

 フリルの付いたドレス

「わたしが買うの? これ……」
 ぎゅっと、紙を握り締める。
 お腹の底から、暴力的なまでの感情が湧き上がってくる。
 ゼロの正体。目的。
 そんな陰鬱とした考えは、どこかへ消え去っていた。
(C.C.……)
 あの人への、もやもやとした思いによって。


  END

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2007/01/23 23:45 | Comments(3) | TrackBack() | SS

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コメント

>SEVEN さん
コードギアスはこのように、キャラの心情や設定の「隙間」を埋めやすい作品だと思うんです。本編に忠実ってのが自分のSSのモットーでもあるので、そういう意味では非常に二次創作に適している作品であるかと。
カレンについては特に、状況による感情の変化が大きいので、書いていて楽しいですね。
posted by sizuruat 2007/02/17 19:25 [ コメントを修正する ]
こちらのブログでは初めまして☆彡
早速読ませていただきました。
今回のSSは実際にあったっぽい話ですね!世界観を崩さないっていうより全くそのままだと思いました☆彡
実際のところカレンは今回のSSの内容のようなことを考えているのだと思います。この問題はいつかアニメで解決するか更に泥沼化するか楽しみな部分でもあります。
posted by SEVENat 2007/02/16 11:41 [ コメントを修正する ]
指摘により、「玉城さん」から「玉城」へ変更。
posted by sizuruat 2007/01/24 23:10 [ コメントを修正する ]

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