ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/04/27 03:05 |
【コラム】 なるほど丸戸氏講座 第05回 「処女・非処女」

 長らく更新が滞っていたSSですが、今週中には――遅くとも月曜までにはアップできそうです。
 内容はパルフェ、ま~姉ちゃんが中心で。個人的な好みに従い里伽子と玲愛も登場予定です。……今、「りかこ」が一発変換できなくて軽くヘコみました。パソコンの辞書が削除されてたんですよね。

 ちなみにいつ以来のSSになるのかと言うと……あれ、前回のは5月? 1ヵ月半ぶり?
 パルフェのSSからは丸2ヶ月も空いてしまいました。お待たせして申し訳ありません。

 さて今日は、こちらもずいぶんと久しぶりな丸戸氏講座の第5回を。
 作品の本質からは外れるかもしれませんが、まぁこれも重要な事項ではありますので。

拍手[2回]


 第01回第02回第03回第04回・第05回

・なるほど丸戸氏講座 第05回 「処女・非処女」
 氏の活動の中心となるエロゲには、当然Hシーンの存在が求められます。回数の多少はあれ(例えば戯画では、社の方針からか1人のヒロインに複数回用意されるのが決まりごとのようです)、濃いか薄いかの違いはあれ、作者が苦手か得意かも関係なく……避けては通れない道、それがHシーン。
 氏の作品では主に真っ向からの純愛をテーマとしており、『V.G.NEO』『DUEL SAVIOR』などの例外を除き、陵辱や複数人数でのプレイがまったく描かれていません。エロゲのジャンルの中で最も多い所謂“学園モノ”と同じ傾向と言っていいでしょう。
 しかし、一般的な学園モノとは違い、氏の作品に登場するヒロインたちは○校生ではない――年齢がやや高めに設定されている場合が多いようです。実際に全員の平均年齢を出したわけではありませんが、おそらく20歳以上になるのではないでしょうか。成人しているキャラも同様に多いわけですから。
 にも関わらず、主人公と恋仲になるまで男性との性経験がない――つまり処女である割合の高いこと高いこと。それはなぜでしょうか。実はここに、一定の変遷を伺うことができます。
 では、主に戯画作品を例として見ていきましょう。

■加藤あおい(Ripple)
 そもそもの発端となったのは、丸戸氏のデビュー作に登場し、「××子」の原点ともなったあおいでした。
 あおいは主人公と思いが通じるまで、別の男性と付き合っていたようです。ゲームには1人しか登場していませんが、あるいは複数人だったのかもしれません。もっとも、あおいにとってはただのヒマ潰し(?)だったらしく、ひたすら冷たい態度を取っていましたけれど……。
 とは言え、成人男女のお付き合いであることに違いはなく。その後、無事にあおいは主人公と結ばれますが(要するにHシーンに突入しますが)、この際、ユーザーの間で論争が起こりました。
 すなわち、あおいは処女だったのか否か。初めての相手は主人公だったのか否か。
 二番目の疑問は、過去にあおいが主人公と同棲していたという事実に依拠します。
 この問いが払拭される描写はゲーム内では発見できず、結果、丸戸氏の心中に「ユーザーはそこまで気にするものなのか……」といった思いだけが残りました。以降、処女・非処女の問題は、継続して作品内に持ち上がることになります。それはもう、過剰なまでに。

■秋島香奈子(ショコラ)
 上記に対し一つの答え……と言うか、妥協点を見出されたのが香奈子です。彼女は主人公との始めてのHシーン――アレを挿入する際、『痛み』を感じる、もしくはそれに相当する“初めてだと予想できる”ような書き方がされています。しかし、本当にそれまで処女であったかどうか明らかになる『破瓜の血』は、イベントCGにおいても(注1)シナリオ中にも確認されていません(注2)。
 それまでの経過から間違いなく処女であるとわかる美里・さやかのイベントCGには『破瓜の血』があることと比べると、香奈子については、氏が最後の抵抗を示したように思えてなりません。処女か非処女かどうかなんて関係ないではないか、重要なのはそこなのか、いや違うだろう……と。
 ちなみに香奈子と同じ立場である翠は、下記の恵麻と同じ処置が施されています。
※注1:実際に戯画でどう行われているかはわかりませんが、「ノベルゲームのシナリオ作成技法」によると、シナリオライターがイベントCGを発注し、ある程度の指定をする場合が多いようです。
※注2:言うまでもなく、実際の女性に対し『痛み』『破瓜の血』は処女であるか否かの証には成りえませんが、エロゲ的な記号としてこれらの事項が用いられることが圧倒的に多いようです。

■杉澤恵麻・涼波かすり(パルフェ)
 が、それでもユーザーからの反発があったのでしょう。『パルフェ』になると、徹底して全ヒロインが処女であると強調されます。それはもう、未亡人であるはずの恵麻までもがそうなってしまうほどに。本来、既婚者であった恵麻は、お手つきがあっても何らおかしくはないはず……なんですが。
 けれど、ここでも氏なりの演出が施されています。恵麻が処女だとわかるのは、唯一イベントCGのみ(もしくはビジュアルファンブックにおいて)であり、恵麻自身から処女であることが説明されたり、主人公が悟ったりするようなことはありません。あくまでも、そういったことを気にする――わざわざ『破瓜の血』を確認するユーザーのためだけに発信されているかのようです。知りたい人が知ればいい……と。
 同じくパルフェでは、かすりが処女であるか否かが、今度は主人公側の問題として持ち上がります。あたかも主人公がユーザーの視点に立ったように。何かの示唆であると考えることはできないでしょうか。
 事実、自分は「前の男がどうのこうのなんてウジウジ悩む必要ないのに」と思ってしまいました。

■桐島沙衣里(この青空に約束を―)
 氏の作品には珍しく真っ当な「学園モノ」にカテゴライズされるこんにゃくでは、やはりお決まりのようにほぼ全員のHシーンで『破瓜の血』が確認されます。唯一例外なのは……そう、ヒロイン内で最年長の沙衣里です。凛奈にも見られませんが、これは単に衣服の問題でしょう。
 沙衣里は修正前(初回版)と修正後(通常版)でイベントCGが大幅に変更されています。しかし双方を確認してみたところ、一貫して『破瓜の血』は描かれていません。加えて、初Hの段階では沙衣里が処女かどうかについては言及しておらず……。処女であることは、後々、主人公との会話によって明らかになります。
 このように沙衣里は、手法こそ違えど、恵麻の件と類似していることがわかると思います。処女であるか否かが気になってしまう人は、初Hの段階で不安になったことでしょう。そして、人によっては見逃してしまうほどの何気ない会話により処女であったことがわかって、ほっとするのです。「あぁ、よかった……」と。
 ここに、氏らしい皮肉を垣間見ることができます。

■百瀬裕一(FOLKLORE JAM)/星野航(この青空に約束を―)
 翻って、今度は主人公サイドについて考えてみましょう。彼らは童貞であるか否か。戯画作品ではありませんが、わかりやすい例としてここでは『FOLKLORE JAM』を挙げています。
 これも学園モノと同様、主人公は童貞である場合がほとんどのようです。『ショコラ』ではそのことをヒロインたちに笑いのネタにされていました。受け手であり主人公と同じ目線であるはずのユーザーがこれをどう感じたのか……という疑問は、ここでは保留にしておきます。
 が、例外もあります。裕一です。『FOLKLORE JAM』は学園モノに分類される作品であり、学園モノのお決まりと言えば「初めてのHは童貞と処女で」であるはずが、彼は何と、ヒロインたちと結ばれる前にサブヒロイン(ルートのないヒロイン。サブキャラと言ってもいいでしょう)に童貞を奪われています。しかも、以降、何度も体の関係を持っている様子が……。
 また、こんにゃくの航は、初めての相手こそ奈緒子(処女)なものの、その後、他の女性と遊びのお付き合いをしてしまっています。一方の奈緒子が、再び航と結ばれるまでは貞操を守っていたというのに。
 これは奇妙な事態ではないでしょうか。つまり何が言いたいのかと言うと、「ヒロインが処女であることには拘るのに、主人公が童貞であるか(もしくは身持ちが堅いか)については拘っていない」ということです。ユーザーからの指摘により、ヒロイン=処女であることへ半ば固執するようになった氏が、主人公に限ってはその変遷から完全に外れてしまっています。しかも、現段階では最新作であるこんにゃくにおいて。
 裕一や航の処遇に対しても、あおいと同じように反発があったのかどうかはわかりません。けれどこれが、氏からのメッセージだと考えてしまうのは深読みしすぎでしょうか。

■処女・非処女であること
 処女であるか否かが問題とされた有名な例は、『はじめてのおるすばん』のヒロインでしょう。次回作の『はじめてのおいしゃさん』において、わざわざ初Hシーンが補完されたほどでした。他にも『下級生2』など、エロゲユーザーが処女・非処女を気にかけてしまうのは明白な事実です。
 氏もその波には逆らえず、必ずどこかで“処女だ”と明記するようになっています。けれどそれは、なかなか一筋縄ではいかず――ユーザーが安心するような描かれ方ではありません。人によっては、「イジワル」「何でいちいちそんなことを」と思ってしまうこともあるでしょう。
 しかし個人的には、そんな細かい部分にも氏の特色を感じずにいられません。処女・非処女であること、その描写にどう向き合っていくのか……。そういった点に注目してみてもおもしろいのではないでしょうか。
 以上、『ダメコイ』ではどうなるのか気になりつつ、論を終えたいと思います。 
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2007/07/10 00:58 | Comments(1) | TrackBack() | Column

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コメント

確かに女の子は処女の方がいいのかな~(^_^;)

正直そこまでこだわりは持ってなかったです。

でもゲームの中の女の子は大半が処女だけど今の時代、大学生になって処女の子とかほとんどいない気がする(>_<)
posted by SEVENat 2007/07/14 01:53 [ コメントを修正する ]
Re:無題
処女・非処女の問題は、そもそもエロゲ(と言うかギャルゲー)が「2次元の女の子と恋愛をしたい」という願望に根付いてるんですね。夢物語は夢物語のまま楽しみたいという意識があり、だから処女であることに拘る……と。
丸戸氏の作品はキャラたちの年齢が一般のエロゲより上なこともあって、希望と現実の葛藤が生じているんだと思います。
2007/07/15 09:50

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