どうも、お久しぶりです。何も告げずに2ヶ月以上も放置してしまい、申し訳ありません。
一度休むと戻るのが億劫になり、ずるずると手つかずになっていました。これまでにも突然更新しないことはままありましたが、ここまで長くなったのは初めてですね……。根強くアクセスしてくれた方がいましたら、お礼申し上げます。せめて復帰予定だけでも予告できれば……まぁ、後の祭りですけど。
アクセスと言えば、なぜか停滞中の方がアクセス数が多かったみたいで(1日に300とかザラのようでした)、気が付けば7万を超えています。どうやら2期が始まった「コードギアス」効果のようですが……これはあれですか、早いとこ新しいSSを書けってことですか。確かに、久しぶりにカレンやC.C.を見たら創作意欲はかき立てられたものの、書ける目処は今のところ立っていないので、まだ未定とさせてください。
あぁ、しばらくパルフェ(と言うか里伽子)も書けてないから、そっちもやりたいなぁ……。
さて今日は、今年もクレしん劇場版の感想……と、一応、コナン劇場版の感想も少し。
ずーっと滞っている「相棒」レビューもさっさと終わらせねば。次のコードギアスに入るためにも。
・名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)
まずはコナンの感想を。去年は批評する元気もありませんでしたが、今年は頑張ってみます。
いやー、何と言うか、去年の「紺碧の棺」は史上最大の駄作だとしたら、今年は史上第二位くらいの駄作だったなぁと。どうして最近のコナンの映画は、こうつまらない……以前に、お話として成り立っていないんでしょう。脚本段階で誰か気付かないんでしょうか、これはきっとつまらないものになると。もうやりたいことだけを好き勝手にやって、整合性を丸で無視したようなストーリーになっていました。粗ばかりが目立ってしまい、本筋に集中できません。これでも推理モノの看板を掲げているんだから……。
しかも今回は、銀幕に栄えるアクションシーンすらほとんどなし(去年もたいがいでしたが)。盛り上がる場面もなくこれと言ってなく、何を楽しめばいいのかまったくもって不明な出来に。テレビスペシャルでも『これはちょっと……』なレベルです。「時計じかけの摩天楼」「世紀末の魔術師」など、歴代の名作を手掛けた古内一成氏が脚本だから、そこまで悪くなるはずはなかったんですけど……。
来年も観に行くことは観に行きますが、そろそろ誰かどうにかしてくれないものでしょうか。
以下、ツッコミどころを箇条書きで。ストーリーの進行とは関係なく、思い付いたままに。
■元太とリコーダー越しに間接キスをした灰原。
■小学1年生ならば、リコーダーではなく鍵盤ハーモニカでは?
■タイトルの「楽譜」は本編にあまり関係なし。いっそ「戦慄の旋律」にすればよかったのに。
■警察官用の短身銃、しかもガラス越しなのに譜和の右手を正確にスナイプできる佐藤刑事の腕前。
■撃たれたはずの右手で銃を構える譜和。包帯の書き忘れもあったような……。
■調律師よりも、爆弾製造やスナイパーとして活躍した方がよかった譜和。
■4人や堂本を殺す動機はわかったものの、それが観客まで道連れにする理由には繋がらない気が。
■外周の柱がすべて破壊されたのに、内部はビクともしない堅牢な作りのホール。
■と言うか、柱なんて壊さずに最初からホールを爆破すればよかったのに。
■パイプオルガンに仕掛けられた起爆装置を2分やそこらで取り除けるものなんだろうか。
■屋上に探偵バッジを置いてきたのに、結局、伏線ではなかった……?
■マッチだけで爆発するほど充満していたのに、プロパンガスに気が付かないものか?
■爆発の中でも欠損一つない頑丈なフルート(のパーツ)。
■酒を飲んだんなら車に乗るなと言いたくなる相馬(譜和の息子)。
■メインヒロインは完全に怜子(桑島法子氏)。蘭とのエピソードなんてジャマなだけ。
■自分が狙われているというのに、躊躇いなく自宅のドアを開けてしまう危機意識のない怜子。
■殴られたときに吹っ飛んだメガネをちゃんとコナンに戻してあげる優しい譜和。
■受話器からあんなに離れてたのに、どうやって状況を伝えたんだろう……。
■それ以前に、電話で助けを呼べなかったらコナンと怜子はどうなっていたんだろう……。
■『絶対音感を持っているから計画の遂行に邪魔になる』というだけで河辺奏子(爆弾で重傷を負った被害者)を手にかけたんだから、ハンス・ミュラー(オルガンの調律師)も殺しておけばよかったのに。
■この映画、「コナン」である必要性はあったんだろうか。まぁ、去年にも当てはまることだが。
・クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛(きんぽこ)の勇者
では、クレしんの劇場版を。
今年は、去年まで3年間監督を務めていたムトウユージ氏に替わり、劇場版第1作「アクション仮面VSハイグレ魔王」~第4作「ヘンダーランドの大冒険」までを手掛けた本郷みつる氏が監督に再就任しました(テレビシリーズは引き続きムトウ氏が務めているようです)。加えて、物語のテーマが本郷氏お得意のファンタジーもの……と来れば、古参のクレしんファンである自分としては期待せずにはいられません。きっと、正しいお子様向けのギャグとアクションが豊富な良作に仕上がっているのではないだろうかと。
そう、期待してはいたのですが……。
以下、項目ごとに、
■総評
どうしたんだろう、本郷監督。
というのが第一印象でした。裏切られた、というのが正直な感想です。世間からは評価の低いムトウ作品よりも微妙だったのではないでしょうか。全体を通してあまり楽しめず、特に見所といった見所もなく、今のところは繰り返し見たいとも思いません。期待が大きすぎた……のもあるでしょうが、ヘンダーランドという本郷氏の最高傑作を知っている人でも知っていない人でも、この感想は変わらないでしょう。
つまり、相対的にも絶対的にもいまいちだった、ということです。
■批判点
では、何が悪かったのかというと……『テンポの悪さ』『盛り上がりのなさ』にあるでしょうか。
まずは『テンポの悪さ』ですが、これは前半から顕著でした。なぜか、執拗なまでに日常の風景を繰り返しています。日常の中でギャグが繰り広げられるわけではなく、みさえやひろしが迷惑がる「生活の五月蠅さ」が作品を通してのテーマになることもなく……。改めて考えてみても、必要性がわかりません。あれでは、本来の対象であるはずの子どもたちは退屈してしまうでしょう。敵であるマックやプリリンの不思議さ・恐怖を演出するにしても、ダークらによって変えられてしまった世界と元の世界とのギャップを強調したかったにしても、もっと簡潔にすることができたはずです。その変えられてしまった世界からも、野原一家が追い詰められることもなく、異常に気付いた時点であっけなく脱出してしまいますし。
後半、ようやくダークらと闘いにになっても、『テンポの悪さ』は払拭し切れていません。どうも、日常から非日常への『さぁ、これから闘いに行くぞ』という切り替えがうまく行ってないんですよね。何とな~く場面が進んで、何とな~く重要なシーンを通り過ぎてしまうと言うか……。ピンチらしいピンチが存在せず、僅かにあったとしても、そこから切り抜ける描写にメリハリがなかったことも関係しているのでしょう。ハラハラドキドキなんて遥か遠く、どころか、マックとの空中戦なんかは冗長とさえ感じられました。途中から、『早く決戦に入ってくれないかなぁ』と焦れてしまったのは、果たして自分だけなんでしょうか。
このことが、2つめの理由である『盛り上がりのなさ』にも繋がってきます。
これを表す一つの例として、今回は誰が活躍したのかがはっきりしていないことが挙げられます。しんのすけはさて置くとしても、ヒロインであるはずのマタは『ダークとの闘いで父親を亡くしている』『自分の世界を取り戻さなければならない』という切実な背景が観客側に伝わってこず、サポートと解説役以外ではほぼ役立たずな状態に。野原一家にしても、終盤になっていきなり出張ってきたばかりか、「家族」という美談を無理に強調していたような気がしました。本郷監督の言うようにしんのすけ1人を活躍させたいのならば、そうした中途半端なことはせず、きっちりと区切りを付けてほしかったところです。本郷監督が初めて動かしてくれるひまわりはどんなものになるんだろうという期待も叶わなかったし……と、これは個人的意見。
また、『盛り上がりのなさ』は、物語を支える世界観が曖昧だったからとも考えられるでしょう。闇の世界「ドン・クラーイ」や金の矛・銀の盾の説明を冒頭に委ねてしまい、非常にわかりにくいものになっていました。理解が現状の事態への認識に追いつきません。子どもならばなおさらでしょう。
もっと直接的――視覚的にも認知しやすいようにすることはできなかったんでしょうか。例えば……本郷監督はそうしたくなかったとはわかりつつも、しんのすけがドン・クラーイをマタといっしょに旅するとか。そうすれば、序盤から魔法合戦に持ち込むことによって、見せ場を多く提供することもできます。まぁ、ダークらの占領下にあるドン・クラーイが暗闇ばかりではつまらないので、そこは一部設定を改変して。
でなかったら、日常が非日常に変わっていく様子を丁寧に描写するとか、ダークが支配してしまったこちらの世界の場面をもっと入れるとか、観客に危機意識を芽生えさせるとか……。
ともかくも、こうした批判点ばかりが目立ち、劇場版らしい見所を見つけることができませんでした。
うーん、久しぶりで勘が鈍ったのかなぁ、本郷氏。
■過去の本郷作品と比べて
批判点とも重なりますが、以下、歴代の本郷作品と比較した点をさらに箇条書きで。
○魔法(不思議な力)
自分の中で、魔法に通じる「特殊な力」「通常とは違う力」には、一定の制限や制約を設ける必要があるという持論があります。例えば、「仮面ライダーストロンガー」のチャージアップや、「救急戦隊ゴーゴーファイブ」のグランドライナー、「仮面ライダークウガ」のライジングフォームのように。でないと、制作者の発想次第で何でもありな、カタルシスがあまり生じないものになってしまいます。観客に制限や制約を理解してもらい、その上でハラハラドキドキを感じさせるのが、制作者の腕の見せ所でしょう。
劇場版クレしんもその例に漏れず、「雲黒斎の野望」のタスケテ・ケスタは3回限り、カンタムロボの必殺技も3回限り、今作とテーマが似ている「ヘンダーランドの大冒険」のスゲーナ・スゴイデスは枚数制限に加えて、『しんのすけの発想次第』という制約がありました(銃や大砲など生み出して相手を殺すという発想はないわけです)。「ブリブリ王国の秘宝」は魔法(魔神)の力が直接闘いに影響を及ぼしたわけではありませんし、「アクション仮面VSハイグレ魔王」のスーパー三輪車にも回数制限があり、アクションビームは最終決戦のここぞというときに発現することにより、カタルシスを生み出しています。
しかし、今回の魔法「ア法」や、ア法の1つである「ヘンジル」には、そういった制限や制約はありません。各個人それぞれの能力が効果的に発揮されない……ばかりか、力量の差も明示されず、味方側の主な使用者であるマタにもトッペマのように力の限界があるわけではないので、一歩間違えると『何でもありな世界』に陥ってしまいそうでした。なぜしんのすけが呪文を唱えただけでマタを封印から解放できたのかも謎です。盛り上がり=カタルシスの不足は、ここからも生じていたのでしょう。金の矛や銀の盾は、先述のアクションビームと同じ効果があったと解釈するにしても、ア法の説明や使用法をきちんと定めてほしかったですね。でなかったら、せめてわかりにくさを低減するためにヘンジルと統一するとか……。
○ヒロイン
しんのすけたちやストーリーの牽引役として、その作品特有のヒロインが登場するのは本郷作品ではお馴染み。今回のヒロインであるマタにキャラとしての魅力がない……というのは批判点の繰り返しになるからやめておいて、『夜の間しか現れることができない』という設定だけはどうにかならなかったんでしょうか。完全に、ヘンダーランドのヒロインであるトッペマ(が、敵のチョキリーヌに呪いをかけられたとき)とカブってしまっています。ただでさえ、キャラのイメージ的にも似ているというのに……。
余談ですが、宣伝ポスターのときと本編では、ヒロインのキャラデザが違っているという点もヘンダーランドと同じだったりします。まぁ、マタの場合はトッペマと違って配色だけですけど。
○敵組織
敵の組織に数人の幹部とボスがいる、という図式も、本郷作品ではお馴染みです。この配置は、原監督作品「ブタのヒヅメ大作戦」まで続いています(厳密に言えば『温泉わくわく大決戦』までですが、後述の流れには沿っていません)。中ボスを倒してから大ボス……の流れを作ることにより、ストーリーの中に自然な形で見せ場を創出し、劇中のキャラと観客側のテンションを同時に高めることができるわけですね。一般的なRPGゲームをイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。
ただ、批判点にもあるように『盛り上がりのなさ』が目立っていたこともあって、今回に限ってはあまり効果がなかったような気がします。マックやプリリン、ダークのキャラが立っていなかったことも影響しているのでしょう。恐怖感を強調するのもいいですが、それ以外にも、例えばマックのお金好きという性格やプリリンの腹黒さを前面に押し出したり、ダークは顔が二色に塗り分けられているんだから(最終決戦では2人に分かれますし)、白と黒の顔で別々の声優をキャスティングすればよかったのに、と思います。どこぞの阿修羅男爵みたく。まぁ、片方を女性にするとまでは行かなくても、別々の人格にすればキャラも深まったかもしれません。せっかく、街の背景やマックのダンスは凝っていたんだから……。
○手足の伸びるしんのすけ
最終決戦では金の矛と銀の盾の力を借り、しんのすけの手足が伸びます。
これは……どこかで見たシーンと思ったら、「雲黒斎の野望」の戦国時代編ラスト、大人しんちゃんになるのと同じ展開ですね。刀と矛という違いはあれ、武器も似ています。あちらの迫力が『まさに剣戟!』と圧巻してしまうほど秀逸だっただけに、こちらは数段見劣りしてしまいましたけど……。
■その他
大筋以外にも細々と気になったことを、さらに箇条書きで。
○ギャグ
印象的なシーンは皆無と言っていいでしょう。ギャグのタイミングも外れていたように思います。
つくづく、クレしんらしくない映画だったなぁ……。
○パロディネタ
劇場版の他、テレビシリーズでも数々のパロネタが登場するクレしん。今回も、「マッハGoGoGo」や「ラーゼフォン」のネタ、パロディとは少し違いますが、魔法少女が歌を歌う(アイドルになる)イメージがさりげなく出てきます。こういう、本筋に関係のない部分で監督の嗜好が見え隠れするのはクレしんのいいところですね。誰か、ここまでのパロネタをまとめてくれないかな、劇場版だけでも。
ちなみに、テレビシリーズの中で最も衝撃的だったパロネタは、「グリーングリーン」のバッチグー。まさか、ご本人である田中一成氏に『バッチグーっしょ!』なんて言わせるとは思いませんでした……。
○作画
クレしん映画ではよく話題になる作画(の良質さ)。が、残念ながら今回は、特筆すべき点はあまりありません。冒頭のカブトムシ(マタ・タビ。マタの父親)とドラゴン(ダーク)の対決や、ラストのしんのすけ対ダークのシーンはそこそこ見応えがあったものの、それ以上に、前述したマックとの空中戦――3DCGのダメさ加減が目立っていました。デザインも動きもカクカクとした、いかにもなCGであることに加え、カメラワークなどの演出も微妙なため、迫力に欠けています。素直に手描きにすればよかったのに……。
どうして安易にCGにするんでしょう。制作上の利点はわかりますが、CGを使うならそれ相応の度胸と覚悟が必要ですね。思いっきり凝った作りにしなければ、という。でないと逆効果ですから。
○声優
毎回、地味~に豪華な声優をキャスティングするクレしん。今回の注目は、やはりマタ役だった堀江由衣氏でしょう。少年と見せかけた少女役は、まさか「おとボク」の逆バージョン……なんてことはないでしょうけど、歌も含めてなかなかいい演技をしていたと思います。もっとも、自分の場合、どこかで聞いたことがあるとは思いつつ、キャストクレジットを見るまで誰なのか気が付かなかったんですけど。
にしても、パンフレットに現在レギュラー出演しているTVアニメとして「ヴァンパイア騎士」「D.C.S.S.」「ドルアーガの塔」を記載するのはどうなんでしょう。一応、子ども向けパンフのはずなのに。
金の矛役の金田朋子氏も印象的でしたね。こちらは一言発しただけで瞬時にわかる、かねとも感が丸出しな声でした。もう少し活躍場面がほしかったなぁと思ってしまうのは、ファン心理ということで。
○メタ的要素
個人的に気になったのが、ダークらが進出した後のしんのすけたちの世界。「男性専用車両」や「日本マナー法」、『昨日は法を犯して検挙される国民が1人もいませんでした』『んなアホな!』の流れなどはニヤリとさせるものでしたが、それ以上におもしろいと思ったのは、悪い怪人を全部やっつけたアクション仮面が勉強を教え始めた点。これが意味するのは、アクション仮面はすでにアクション仮面としての役割を終えた……要するに、『敵のいないヒーローはヒーローとしての存在価値をなくしてしまう』ということです。一見するとただのギャグですが、よく考えると、なかなかに深いテーマだとは思いませんか? あたかも、ショッカーを倒した仮面ライダーは、人々にとって異形の存在でしかないということを示唆するように……。
まぁ、制作者がそこまでの深読みを観客に求めているかどうかはわかりませんけど。こういう思考ゲームは個人的に好きなので、蛇足気味ではありますが、ここに記してみた次第です。
感想としてはこんなところでしょうか。予想以上に長くなってしまいました。
いつかはテレビでも放送すると思うので、それ見た後にもう1度このレビューを参照していただければ、自分が何を言いたいのかおわかりになるかと。劇場に足を運ぶのは……お勧めできないなぁ。
さて、来年はどうなることやら。
まず監督が誰なのかが気になりますね。また本郷氏なのかな……?