ありがとうございます。昨日を持ちまして、ブログのアクセス数が1万を突破いたしました。
これもすべて、皆様のご愛顧ゆえ……と、感謝の言葉と今後の活動予定を述べたかったのですが、予想以上に時間が遅くなってしまったので、今日のところはSSをアップするだけにしておきます。
というわけでお待たせしました。コードギアスSS、更新です。今回はカレンがメインで。予告通り、ガウェインのパイロット絡みのお話です。
やっぱりC.C..とカレンは書きやすくていいなぁ。
本当は「この青空に約束を」の約束の日である昨日――つまり3月21日に挙げときたかったんですが、忙しさから22日になってしまいました。次回のSSは……まだ未定です。もしかしたら4月に入ってからになるかもしれません。詳細は後日。
そう言えば、こんにゃくアニメ版のHPは音沙汰がないようですけど、どうなっているんでしょう……。
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コードギアス 08.カレンの日常③ 「騎士団にて その2」
「……納得いかない」
騎士団の新たな拠点となった潜水艦。その格納庫。
カレンは一人佇み、「ガウェイン」を見上げている。
先日、ゼロとともにブリタニアから奪取したKMF。
騎士団を危機に晒した新型が、今では手中にある。
それはいい。むしろ喜ぶべき事態である、はず。
自分たち――騎士団の助力になってくれるだろう。
枢木スザクの駆るランスロットへの、対応策に成り得るかもしれない。
だが……カレンを納得させないことが、一つだけ。
「何でよりによって……」
C.C.。
騎士団再編の際に役職を与えられなかった彼女が、ガウェインのパイロットとなった。
ゼロとともに。
複座型であるガウェインのコックピットに、ゼロとC.C.が乗る。
その事実が、カレンの心中を穏やかならざるものへとしていた。
だって、おかしいじゃない。
間違ってる。
今までC.C.は、騎士団に貢献してきたわけではない。
志を同じくしているわけでもない。
いつの間にか現れ、いつの間にか居ついているだけだ。
少なくとも、カレンにはそう見える。
だからこそ、納得がいかない。
騎士団の中枢であるゼロ、その専用機の操縦者になるなんて。
ゼロに、そこまで信用されているなんて……。
「……バカみたいだ」
零番隊隊長に任命されて喜んだ自分が。
ゼロに認められていると思って浮かれた自分が。
もっともっと、許された存在がいたのに……。
ゼロの、近くにいることが。
「わたしは……」
騎士団創設のころから尽力していたというのに。
すべてを捨ててきたはずなのに。
実際は、事実は、こんなものだ。
あっけないほど簡単に。
ほしかったものを、奪われてしまう。
いつも、いつも……。
「そりゃあ、ね」
わたしには、紅蓮があるし。
大きな組織となった騎士団には、役目というものがあるし。
そうやって、自分をごまかしてみようとするものの。
胸のモヤモヤは消えてくれない。
気が付くと、こうしてガウェインを見てしまっている。
「……あー、もう!」
やめよう。やめやめ。
こんなことを考えるのは。
従おう、ゼロの指示に。
迷ってはいけない。迷うことは、許されない。許さない。
わたしは、ただ……。
「ん……? カレンか」
だというのに。
やっとこうして、少しは落ち着こうとしたのに。
暗闇の中から聞こえた声で、カレンは一瞬にして硬直してしまう。
「C.C.……さん」
白いパイロットスーツに身を包んだC.C.が、気だるげに歩いてきた。
目を逸らすことができず、けれど、見つめることもできず。
曖昧な位置に、カレンは視点を定める。
「どう……したんですか?」
「休憩だ」
そう言ってC.C.は、さっきまでカレンがしたように、ガウェインを見上げた。
その横顔には、色濃く不満が滲んでいる。
「しつこいからな、あいつは。訓練をしろなどと」
「はぁ……」
「私にこんな役目を押し付けて……」
「…………」
忌々しげに、C.C.は息をつく。
今度は、はっきりとC.C.をにらみつけてから、カレンもため息を一つ。
やっぱりこの人、嫌い……。
まるで、わたしの心を知りながら、あざ笑ってるようで。
「何だ?」
「い、いえ……何でも……」
「やらんぞ」
「……いりません」
さっと、胸に抱えた箱を隠すC.C.。
あの匂いは……またピザだろう。
呆れる。好物なのかどうか知らないが、冷凍のピザを大量に搬入させたらしい。
注文ができないからな……などと、さも当然のように。
どうして、そこまで我が侭が言えるのか。
どうして、そんな我が侭が許されるのか。
「…………」
箱を開け、ピザを食べ始めたC.C.から視線を外し、カレンは思考を巡らす。
本当、なのだろうか、あれは。
この人が――C.C.が、ゼロの愛人だという話は。
だからこそ、我が侭も通るのだと。
だからこそ、ガウェインのパイロットになったのだと。
ゼロも自分の女には甘いんだな……。
玉城たちの言っていた言葉が、耳に残って離れない。
気になる。
問い質してみたくなる。
問い質してみることにする。
「C.C.さんは……どうしてガウェインのパイロットになったんですか?」
それでも、直球は怖いから、少しだけ変化球で。
ピザをくわえながら、C.C.はゆるりとこちらを向いた。
「へごろはんだと」
「……は?」
ゴクン、とC.C.はノドを鳴らす。
「手ごろなんだと」
「手ごろ……」
「空いているやつがいないから……だとか何とか。と言うより、あいつは私がヒマにしているのが嫌なんだろう。士気に関わるかららしいが……迷惑な話だ、まったく」
憤慨した様子で、再びピザを食べ始めるC.C.。
毒気を抜かれたように、カレンは呆然とする。
今の会話からは、男女の、その……そういう雰囲気は伺えないけど。
どうなんだろう。よく、わからない。
C.C.という人が。ゼロとの関係が。
愛人……にはとても見えない。
友人? 仲間? 同志?
どれも違うような気がする、何となく。
だったら、どうなんだろう。
……などと、先ほどまでのイラ立ちを忘れながらカレンが考えていると、
「C.C.!」
聞こえてきたのは、怒りを帯びた声。
ゼロ。
つかつかと歩み寄り、C.C.のピザを取り上げる。
低い声とともに、C.C.はゼロを見上げた。
「……私を怒らせたいのか」
「こちらのセリフだ。また訓練を抜け出しただろう」
「退屈だ」
「訓練が終われば食わせてやってもいい」
「おもしろい。私を餌付けするつもりか?」
「そうだな。それもいいだろう」
「できると思っているのか?」
「ならば、今までの料金を払ってもらおうか。でなければ、今後、注文はさせない」
「…………」
「ここに保管してある在庫をすべて捨ててもいい」
「……卑怯だ、お前は」
「交渉と言え。少しはお前の操縦法がわかってきたからな」
「飴と鞭、ということか。まずは甘い顔を見せておいて」
「わかっているじゃないか」
来い、と言い、ゼロはC.C.の手首を引っ張る。
思い出したように、カレンは声を上げた。
「あ、あの……」
「む、カレン。いたのか」
「…………」
その言葉に、心中はショックを受けながらも、
「ちょうどいい。すまないが、こいつの面倒を見てくれないか。他の者は匙を投げてしまってな」
「は、はい!」
「頼んだぞ」
ゼロから頼みごとをされると、うれしくなってしまう自分がいる。
これでいいと、思えてしまう。
役に立てれば、それで。
自分の居場所があるならば、それで。
「カレンに教わるのか? 気が進まないな」
「……え?」
「戦場での動きを見たが、まず無駄が多い。冷静さにも欠ける」
「…………」
「学ぶことはあまりないと思うが……仕方ないな。ピザを人質に取られてしまっては」
「…………」
「どうした、行くぞ」
「……は、はい」
あぁ、でも。
背中を向けるC.C.に気付かれないよう、幾度目かの嘆息をつくカレン。
やっぱり……。
この人は、嫌いだ。
END
文章読んでたら本編の映像が浮かんできます(=^▽^=)
キャラとして好きなのはCCですけど
ルルとはカレンにくっついてもらいたいです(笑
しかし、本編ではカレンの出番が少ないことを危惧しています。ルルーシュとのカップリング説は、やはり正体がバレてからの話でしょうか。