ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/11/22 17:57 |
【SS】 コードギアス 09.カレンの日常④ 「G1にて」

 非常にお待たせしてしまいました。久しぶりのコードギアスSS、更新です。
 今回は、予告通りカレンがメインの神楽耶絡みで。時系列的には23話の劇中となっています。

 神楽耶のキャラが掴めず、けっこう苦労しました……。特に語尾が。こんな激昂はしないかもしれませんが、とりあえず、カレンとの口ゲンカが見たかったのでこのような展開に。最後はC.C.も出てきまして、個人的に好きな3大キャラが共演することになりました。
 感想ありましたらよろしくです。

 次回のSSは、パルフェかこの青空に約束をを予定しています。
 詳しい内容は近くなってから。その前に新番レビューが先かなぁ。

拍手[3回]


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コードギアス 09.カレンの日常④ 「G1にて」

「……納得いかない」
 簡素なイスに座りながら、カレンは以前、ガウェインを見上げていたときと同じセリフを呟く。
 相手に聞こえないように、小さな声で。
 木霊することもなく、声は、むき出しの蛍光灯に吸い込まれていく。
 ブリタニア軍から奪取したG1ベース、その一室。
 ディートハルトに呼ばれ、カレンはこの部屋へ来ていた。
 しばらくは個室に“いてもらう”ことになった人物の監視をするためだ。
 この、面倒ながらも重要な役目にカレンが選ばれたのには、いくつかの理由があった。
 現在、黒の騎士団を中心とした反乱軍は、トウキョウの中心部へ向かっている。
 紅蓮の他、KMFは整備中であり、パイロットであるカレンたちは待機を命じられていた。
 逆に言えば、騎士団の主要メンバーだけが乗り込んでいるG1内で、手の空いている人員は他にいなかったのだろう。
 それは……わかる。
 加えて、対象の地位や特異性のため、監視役は女である必要があった。
 後々のことを考え、男と同室させるわけにはいかないからだ。
 従って、女性であり、かつ年齢が近いこともあって、カレンが適任だろうと判断された。
 それも……わかる。
 詳しい説明をされずとも、自分の役割や、この人がどのような立場の人間で、騎士団にとって――ゼロにとってどんな意味を持つのか、そういったことは理解していた。
 だから、了承もした。
 しかし……。
「……納得いかない」
 向き合う形でイスに腰を落ち着けている少女は、カレンと同様の呟きを漏らす。
 こちらは、わざと聞こえるような大きさで。
 神楽耶。
 キョウト六家の一員であり、その最高位の家柄である女性。
 騎士団への支援が行われる以前も、キョウトに彼女のような人物がいるとは聞いていた。
 年齢ゆえ軽んじられている節はあるが、発言力には確かなものがあると。
 だが……実際に相対してみればどうだ。
「つまんない、つまんない、つまんないー……!」
 不服そうに駄々をこねる様は、年相応の少女でしかなかった。
 いや、戦場の只中であるという状況を考えれば、普通よりもいささか我が侭であり……。
 しかし、特別な存在であり……。
 つまるところ、非常に扱いにくかったりする。
 実際、先ほどからカレンは、神楽耶をどうなだめればいいものかと悩んでいた。
 そもそもカレンには、こういった場合どのような言葉遣いをすればいいのかがわからない。
 しかも不満の原因は、
「ゼロに会わせて。私はゼロに会いに来たんです!」
 であるから、仮にこちらが正しい応対をしたとしても、神楽耶の機嫌はよくならないだろう。
 まったくもって、手の施しようがない。
 結局、宙を仰ぎ見て、ただただこの役目を押し付けてきたディートハルトを恨むばかりだった。
 別にあたしじゃなくて、井上辺りにでも頼めばよかったのに……と。
 実のところディートハルトには、ブリタニアとのハーフであるカレンが、「自分の中にある日本」だけではなく、「大衆が求める日本」に対しても敬意を払えるのかどうかをテストする思惑もあったのだが……。
 そんなことは知らず。
 知ったところでどうにもならず。
 カレンはやっかいな来賓を前にして、無為な時間を過ごしていた。
 早く出撃命令が出ないかな……。
 などということまでを考えるくらいに。
「ちょっと、そこのあなた!」
「……は、はい」
 と、不意に呼ばれ、慌てて視線を神楽耶に向ける。
 明らかに自分よりも年下の少女に尊大な態度を取られ、腹が立ったりもするが……。
 構ってはいられない。
 嫌がってばかりもいられない。
 自らに課せられた役目を全うすべく、緊張した面持ちで神楽耶の言葉に耳を傾ける。
「いったい、いつになったらゼロに会えるんですか?」
「いつと言っ……申されましても……」
「さっきから『わかりません』だの、『もう少々お待ちください』だのと言って。せっかく来たというのに、これでは邪魔者扱いじゃない!」
 はい、その通りです。……とは言えない。
 プンプンと子どものように怒る神楽耶を見て、カレンは改めて脱力した。
 さて、どうしたものか……。
 自分だって、ゼロがこの人に会うつもりがあるのか、どれほどの必要性を認めているのかはわからない。
 ゼロ本人しか知ることができない。
 それを直接説明してもいいが……きっと聞く耳は持たないだろうと予想させる。
 仕方なく、カレンは幾度か繰り返した説得を試みた。
「だからですね……ゼロは今、作戦行動を控えている身で……」
「…………」
「残念ながら……神楽耶、様には……」
「……わかりました」
「え?」
 あっけなく了解した神楽耶に、かえって拍子抜けさせられてしまう。
 どんな心境の変化か、神楽耶は訳知り顔で腕を組んだ。
「そうですね。私がいけませんでした。喚いてばかりもいられません」
「はぁ……」
「やはり妻としては、夫の行いを静かに見守らないと……」
「……え?」
 いきなり飛び出てきた単語に、ぴたりとカレンは止まる。
 恐る恐る、聞き返してみた。
「ツマ……?」
「そうです。聞いていませんでしたか?」
 さも当然とばかりに、ない胸を反らす神楽耶。
 激しい音ともにイスを転げさせ、カレンは立ち上がった。
「妻!? 妻って……あの妻!?」
「……うるさいですね、あなたは」
「だ、誰が決めたの、そんなこと!?」
「私です」
「あんたが!?」
 思わず、口調もいつも通りになってしまう。
 敏感にその意図を察した神楽耶は、不愉快そうに眉をひそめた。
「不満ですか? 私とあの人が一緒になると」
「一緒って……だって、ゼロがそんな……」
「横恋慕? 一介の兵士が?」
「ち、違う! そうじゃなくて……えーと……そう! ゼロが認めるわけないじゃない!」
「…………」
「いきなり、けっ……一緒になるだなんて!」
「……まぁ、ゼロも認めてないみたいだったけど」
「何だ……そうか……」
「むぅ」
「あぁ、いえ……」
 幾分、落ち着きを取り戻したカレンは、倒れたイスを起こし始める。
 依然としてむっつり顔のまま、神楽耶は尋ねた。
「そのことで教えてもらいたいことがあるんですけど」
「何ですか?」
「あの人は誰なんです? ゼロの傍にいた、白い服を着てる人」
「…………」
 再びの静止。
 答えにくい――と言うより、答えたくないことをこの人は……。
「どうも、あのガウェインとかいうKMFをゼロといっしょに操縦しているようだけど……。何だか親密っぽい雰囲気がしましたし……」
「親密……」
「どうなんです? 相棒? 相方? それ以上の存在? 内縁の奥さん?」
「……知りません」
「騎士団の人なんでしょう? ウワサくらい聞いてるんじゃないの?」
「知りません!」
 愛人、という単語がすぐさま浮かんだが、あえて無視することにする。
 今度はこちらがイライラを募らせながら、カレンは乱暴にイスへと腰を下ろした。
「知ってるのは、『C.C.』って名前だけです」
「変な名前。日本人でもないみたいだし……」
「そう……ですよね……」
「あなたはどう思います? あんな根暗っぽくて得体の知れない人なんかより、家柄も確かな私のほうが相応しいと思いません?」
「どうでしょうね……」
「なにその反応。やっぱりヤキモチ? あなたなんかが?」
「違います! ……って、どういう意味なのよ、あなたなんかって!」
「だって……」
 じとーっとカレンを見る神楽耶。
 なぜだか負けたくなくて、カレンもその目を見つめ返す。
「あなたって、雑そうだし、粗野っぽいし……」
「な……」
「胸も大きくて下品っぽいし……」
「な……な……!」
 我慢ができずに、カレンは大きく声を荒げた。
 すでに役目も忘れ、神楽耶を――正確に言えば彼女の肢体を、ビシッと指差す。
「家柄がどうか知らないけど……あんたなんか、ただのチビじゃないの!」
「ち、び……!?」
「ぺったんこだし!」
「そ、そ、それは……これから成長しますから! きっと! 必ず!」
「こんなところにまで来て迷惑なのよ!」
「あなたの意見なんて聞いてない!」
「あ、あたしだって……親衛隊を任されるくらい、ゼロに認められてるんだから!」
「それはそれは、意外と『パイロットとして』優秀なんですね!」
「この……!」
「何です!?」
 立ち上がり、二人の間にバシバシと火花が飛ぶ。
 このまま、取っ組み合いが始まるかと思われたところで……。
「騒々しいぞ、こんなときに」
 扉が開かれた。
 現れたのは、パイロットスーツ姿のC.C.。
「あいつに言われて来てみれば……。もう少し大人しくしていろ」
 C.C.は淡々と言葉を紡ぐ。
 返事をすることもできず、カレンと神楽耶は固まってしまう。
「あの……一つ聞いてもいいですか?」
 数瞬の沈黙から、先に動き出したのは神楽耶だった。
 ほどよく膨らんだC.C.の胸元に視線を走らせてから、疑問を口にする。
「あなたはゼロの素顔をご存知なんですか?」
「……だからどうした」
 さらりと、面倒そうに答えるC.C.。
 一瞬だけ呆然とした神楽耶は、カレンを見上げる。
 そこに何の反応も見られないことを確認すると、小さく息をついた。
「まだまだ、これからってことですね……」
「…………」
 カレンは一人、どちらの顔を見ることもできず、天井を見上げた。
 神楽耶が、そしてC.C.がどういった存在なのかは未だに謎なままだが……。
 ともかく、これだけはわかってしまった。
 苦手な人間が増えてしまった、と。


  END

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2007/04/09 19:11 | Comments(1) | TrackBack() | SS

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コメント

神楽耶がまだどこまですごいキャラなのかがわからないぶん、若干今回の話は不確定な部分を想像しながらイメージ崩さないようにするのに苦労したんだな~という感じがわかりました。

次のパルフェorこんにゃくのSSにも期待してます!
posted by SEVENat 2007/04/10 06:53 [ コメントを修正する ]
Re:無題
≫神楽耶
ゼロ以外の相手にも丁寧語なのか、みたいなところがまだわからないので混在する結果に。まぁ、展開的には想定していた通りに進んだのでよしとします。
≫SS
ギアスのと同じくらいの長さにしたいんですができるかな……。慣れるまでけっこう時間がかかりそうです。
2007/04/12 08:04

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