ペット 空影 -karakage- 忍者ブログ
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2024/05/20 02:41 |
【ネタバレ】 相棒 劇場版「絶体絶命!東京ビッグシティマラソン 42.195km」


 どうも、お久しぶりです。……と、数回前の記事でも同じ口上を宣った気が。
 はい、すみません。申し訳ありません。2月から更新が停滞して4月の後半に復活したというのに、また2ヶ月ほど放置してしまいました。いや、まぁ理由を挙げるとすれば、今回の記事である「相棒」劇場版のレビューが面倒だったから、というだけなんですけど……。如何せん書籍やムックなど情報が多岐に及んでいるため、それらを網羅するのが大変だなぁと。そう思っていたら、ズルズルと手つかずになってしまって。

 今度こそ完全復活……とは多忙なため行かないかもしれませんが、ぼちぼちとは更新していくつもりです。少なくとも月単位での野ざらしはやめておきたいところ。さすがに見限られそうですし。
 ちなみに、この情報もかなり今さらですが、前回の記事で報じた「戯画」の新作は、原画がねこにゃん氏というだけでシナリオは丸戸史明氏ではありませんでした。うーん、残念。まんまと戯画の情報戦略に踊らされてしまったような。まるねこシリーズも滞って丸2年以上になりますね。新作が待ち望まれます。

 さて今日は、気力を奮い立たせてようやく取りかかることのできた相棒劇場版のレビューを。
 数ヶ月前のことなので記憶が朧気になっている部分もあるかもしれません。ご容赦を。

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・相棒 劇場版「絶体絶命!東京ビッグシティマラソン 42.195km」
■映画化に至るまで
 個人的には、ついに来たか、という高揚感と同時に、なぜ節目でもないこの時期に? という疑問も抱いてしまった「相棒」の映画化。その企画は意外と早くから進行していたらしく、プロデューサーである松本基弘氏へのインタビュー(※)によると、『そのうち、『相棒』がおもしろいことをやっていると広く浸透してきて、視聴率もドーンを上がってきて、まさに“今だ”というタイミングで』上層部からの打診があったようです。『ちょうどシーズン4の打ち上げの頃(06年3月)』だったとか。その後、『シーズン5の打ち上げの時点(07年3月)ではまだ全く混沌としていた』状態から、07年6月のクランクインにこぎ着け、そして08年5月の公開に至る、と。和泉監督もインタビュー(※)で『タイミングは今しかないなと』『今きちっと映画を撮っておこうぜってなった』と語っているので、スタッフにとってはいよいよ満を持して、という心積もりだったのでしょう。
 映画の制作にどれほどの時間を要するのかはわかりませんが、上層部からは『ただし、ドラマは通常通り半年放送してくれ』とのお達しがあったそうなので、より大変だったかと思われます。テレビドラマと劇場版が並行して作られる例は……この手のことへの知識が乏しいこともあって、「スーパー戦隊シリーズ」とか「平成ライダーシリーズ」、「ウルトラマンメビウス(ダイナ・ガイア)」ぐらいしか思い浮かびません。
 ちなみに、前述のように劇場版のクランクインは2007年6月(5日)で、『(シーズン)5と6の間に映画の撮影をするしか』なかったそうですから、シーズン6は劇場版を前提(正しくは、劇場版のストーリーを前提)として制作されたと考えらるでしょう。となると、なるほど、シーズン6に過去のゲストキャラの出演が多かったのも頷けます。片山議員や鹿手袋、陣川公平、ヒロコママ、武藤弁護士の再登場は、劇場版への前振りだったわけですね。まぁ、その他、劇場版に登場しないキャラの再登板は脚本家の趣味でしょうけど。

■総評
 season6第01話のレビュー時に宣言した通り、喜び勇んで映画館へ足を運んだ劇場版「相棒」。
 その第一印象は……何となく、「機動警察パトレイバー2 the Movie」に似てるなぁ、でした。ただでさえ“東京を舞台にした警察モノ”ってだけで、自分のような穿った見方をする一部のファンから比べられることは必然なのに、冒頭の東南アジアっぽい風景といい、海外で活動していた青年が現地の情勢に巻き込まれたことが事件の発端になったことといい(パトレイバーはPKO、『相棒』はNPO)、大規模なテロの可能性が危険視されたことといい……。あるいは、これも似たようなイメージから「逮捕しちゃうぞ the MOVIE」「踊る大捜査線 the MOVIE2」とか(いや、どちらもパトレイバーを参考にした作品なんですけどね)。
 まぁ、パトレイバー2の、散々好き勝手やった挙句に人を煙に巻いたような自己完結をする終わり方とは違って結末はしっかりと「相棒」らしくまとめられていたからそれはよしとするとして、全体を見終わった後の印象は……何だか映画らしい映画だったなぁ、でした。とにかくハデなんですよね。前述のテロ云々もそうですし、事件の全容とか犯行の動機とか爆弾とかアクションシーンの多さとか場面展開のスピーディーさとか。映画という舞台に合わせて、エンターテイメント性に特化しているような感じを受けました。ともすれば、松本プロデューサーも指摘しているように(※)、“「相棒」らしさ”から乖離しそうになるほどに。
 この辺の感想は、各個人の持つ「相棒像」と、劇場版「相棒」への期待に由来するでしょう。自分としてはそこまでハデさを強調せずに、戸田山雅司氏ではなく櫻井武晴氏辺りに脚本を任せて延々と重苦しい法廷モノをやってもよかったかな、と思います(一発目の劇場版でそこまで冒険に出られなかったのかも)。もちろん、脚本家によっての振り幅が「相棒」の魅力です。自分の期待に沿わなかったからといって、イコールつまらないという評価に帰結するわけでもありません。追及されたエンターテイメント性が暴走することなく「相棒」ワールド――特命係の2人の活躍という枠の中でカチッと収まっていましたし(このハンドル操作を間違えると、ただハデになっただけで根底にあるはずの人間性が欠如してしまったり、事件の壮大さに呑まれて特命係の存在や必要性が小さくなってしまったり、頭脳戦ばかりで薫はただの右京さんの操り駒みたいになってしまいます)、最初から最後まで中弛みすることもありませんし、伏線も回収されているため、すっきりとした鑑賞後の気分を味わうことができます。これが映画でやりたかったことなんだ、というスタッフのモチベーションを突きつけられたような気がして、「相棒」が映画化してよかった、と素直に喜ぶことができましたね。本音を言ってしまえば、脚本が戸田山氏で大丈夫なのか? と観る前は不安だったんですけど。
 よし、劇場版のDVDはきっと買おう。テレビ版のBOXは高くて手が出せませんが。

■ノベライズ版との比較
 なんて思わず褒めちぎってしまいましたが、その一方で、前述したようにスピーディーさを重視する余り、事件と事件とを繋ぐ「間」のようなものが欠落しているのも事実。目まぐるしく展開していく場面は確かに観ていて楽しいものの、そのとき登場人物たちは何のために何をしているのか、何を思っているのか、状況はどうなっているのかといったドラマとしての視点が狭まっています。要するに、観客は目の前で繰り広げられている視覚情報を処理するのがやっとで、自分の頭の中で事件を整理・判別してストーリーを段階的に楽しむことができなくなっているんですね。そうした、本来なら「相棒」にあるべき“推理モノ”の側面から離れていることも、『エンターテイメント性に特化している』という評価に繋がっていたりします。
 で、そんな欠けている部分を補ってくれるのが、何を隠そうこのノベライズ版。司城志朗氏によって書かれた同書は、やはり紙面の余裕もあって……というより1つの推理小説として、きちんと事件の進行や登場人物の描写を織り込んでくれています。前に戻って既出の情報を確認することができるのも文字情報の強みでしょう。和泉監督はインタビューで『1回外したもの(シーン)に未練はありません』と言っている(※)ことから、よくある「ディレクターズカット版DVD」みたいなものが発売されることもない模様。なので、劇場版を観ただけではストーリーに追いつけなかった、という人はノベライズ版を読むことをお勧めします。
 自分などは、この本を購入したのが劇場版の公開より1ヶ月近くも前(初版第一刷発行が3月19日。自分の買った第二刷は4月12日)でしたから、ノベライズ版を読んでから劇場版を観る形になりました。まぁ、途中まではすでに知っているストーリーを映像として確認する作業になってしまった感は否めませんが、自然と脳内で「間」を補うことができましたし、あらすじがわかっている分、かえってエンターテイメント性を楽しめたのではないかと思います。肝心の“犯人は誰か”といった真相は、本の帯で『映画とは異なる意外な結末も!?』と謳っている通りそれぞれ違っているので心配なし。二度楽しむことができました。
 そうそう、この『意外な』という部分がノベライズ版のミソですね。犯人そのものはそこまで意外ではなかったんですが、そこに至る道に思いがけぬどんでん返しが待っていました(伊丹のセリフ『映画だってそんなことはやらないぜ』がなかなかにメタ的)。こうした謎解きをちゃんと楽しむことができるのも、ノベライズ版が推理小説として成り立っている証拠でしょう。また、個人的にはこちらの犯人の方が、劇場版よりもああいった事件を起こす犯人の性格として相応しいんじゃないかなぁと思いました。劇場版の方は、西田敏行氏の好演もあって人情路線が強すぎたような気がしますし(それも『相棒』だとはわかりつつも)。
 他に気になったのは、劇場版にはなかった、右京さんと薫がそっくりという話……は一種のジョークだとして(言われてみれば……というより、何だそりゃ、なオチ)、右京さんの過去に言及している点。結局、『やっぱり眉唾みたい』と結論付けられ真相は明かされなかったものの、語られた内容には妙な真実味があり、読んでいる途中までは、本編でも語られていないことをこの作者が独自に構築してしまうのか、と期待していました。残念ながら今回は肩透かしを食らわされてしまったわけですが、果たして今後、これまでテレビシリーズでも元妻であるたまきさんと姪(?)の花などを除いてまったくと言っていいほど語られていない右京さんの過去や私生活、家族・親戚縁者関係が描かれる日は訪れるんでしょうか。それとも、このまま生活臭を感じさせないどこか超然とした人物というスタンスが貫かれるんでしょうか。そういった、読者(鑑賞者・視聴者)視点の感心を掘り下げた意味でも、このノベライズ版は成功していると思います。
 あ、でも、ハードカバーじゃなくて文庫で出してくれたらもっとよかったかも……。

■今後
 と、ここまで私的な感想を述べてきた劇場版「相棒」ですが、全国でロードショーが始まった当初から大ヒットの知らせを聞いていました。東映の邦画作品として記録的な数値を叩き出している、と。その勢いは衰えを知らず、何と公開から2ヶ月以上が経った現在でも(さすがに館数は少なくなったものの)劇場で上映されていますし、興行収入は42.195億円、観客動員数は350万人を突破している様子。正直、「相棒」はどちらかと言うと玄人受けする作品だと思っていたので、映画化することは素直に嬉しかったのですが、ここまで爆発的にヒットするとは予想していませんでした(テレビシリーズの視聴率や評価が、そのまま劇場版の興行収入や観客動員数といった数字的な結果に繋がるとは楽観視できなかったので)。
 さて、そこで誰しもが気になってくるのが、劇場版第2弾はあるのか、ということです。和泉監督へのインタビュー(※)には『劇場版を1本完成させてみたら、まだまだいろんなことができる気がしてきましたね(笑)。もう1本、映画でやりたくなってきたと、豊さんとも話しているところです』とありますし、何より、ここまで“金が稼げる”ことを示したのだからスポンサー側も放っておかないでしょう。ファンである自分自身にも、次の劇場版を是非とも観てみたい、という願いがあります。果たしてどうなるのか、今後の「相棒」。 いや、それよりもテレビシーズン7の有無の方が懸案事項か? 今年も例年通り秋(10月)から始まるんでしょうか。
 そんなことを考えていたら、今作のスピンオフであり、小説「鑑識・米沢の事件簿~幻の女房~」を映画化した「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」の制作が決定したという報が舞い込んできました。公開は2009年春とのこと。まさか、すでに計画が動き出していたとは……という驚きとともに、タイトルに冠した「相棒シリーズ」の言葉が気になります。ひょっとすると、このまま『踊る』シリーズみたいに次々とスピンオフが作られるとか? もうないだろうと思っていた「踊る大捜査線 THE MOVIE3」の制作も決まったことですし、人気のあるシリーズはファンの声援と制作者の気力が残っている限り作られ続けていくのかもしれません(逆に、どこで区切りを付けるのかが問題になってくるわけですけど。『相棒』もどう終わるのかなぁ)。

■パンフレット
 お仕舞いに、内容からは離れてパンフレットについて。『観た映画のパンフレットはすべて買う。たとえ内容がおもしろくてもつまらなくても買う。むしろ上映前に問答無用で買う』という己のポリシーに従って毎度のごとくパンフレットを買った……のはいいんですが、その形状(形態?)を見て驚きました。レジにて渡されたのはいつものような冊子ではなく、「開封厳禁」「見終わるまで開けてはいけません」と注意書きの入ったテープで封をされた封筒。これだけなら、まぁ推理モノにならあるかもしれないなぁと思いきや(文庫本でも袋とじになっているやつがありますし)、その中から出てきたのが表紙も裏表紙も真っ黒な小冊子(B5よりちょっと小さめ)と、どこからどう見ても新聞のような紙(畳み方やレイアウト、紙質に至るまで本物そっくり)なんだからビックリ。小冊子には文字情報は一切なく、劇中のシーンが写真として掲載されているのみ。片や、その名も「相棒新聞」という、広げると2枚(ページで言うと8ページ)になる新聞状の紙にはあらすじやインタビュー、グッズ紹介などが載っていて、どうやら両者を合わせて一般的なパンフレットの機能を果たしている様子。
 うーん、凝ってるなぁ……と感心したのは、しかし一瞬でした。要するに出オチなんですよね。封筒から出したときのインパクトがすべて、という。その後に気になってくるのは、持ち帰ってからの保存方法です。小冊子はまだしも、新聞の方は如何せん材質もサイズも新聞っぽいですから、本棚に突っ込むのは微妙。となると、封筒に戻すしかないよなぁ、でも封筒は普通の封筒だから不格好だよなぁ……などと考えてしまうわけで。同じようなことは、パンフレットが便せんの形をしていた「秒速5センチメートル」でもありました。あっちは結局、机の引き出しに眠らせることで決着したので、おそらくはこっちも……?
 まぁ、これも制作スタッフの「相棒」にかける情熱として許すことにしましょう(ん、そう言えばパンフレットってどこが作ってるんだろ)。パンフレットを捨てるなどという選択肢は初めからないわけですし。

※いずれも、「相棒 -劇場版- オフィシャルガイドブック」より引用。
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2008/07/11 20:57 | Comments(0) | TrackBack() | Review

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